2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノチューブ層数制御法開発のためのナノチューブ生成前駆体の研究
Project/Area Number |
16510074
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
菅井 俊樹 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助手 (50262845)
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Keywords | 高温パルスアーク放電法 / 高品質2層カーボンナノチューブ / 生成前駆体 / 層数制御 / 電子状態 / 層間相互作用 / 気相移動能 |
Research Abstract |
今年度は高品質2層ナノチューブの生成と精製をさらに推し進め、その性質を詳しく調べた。電子顕微鏡の観察では、成果3にあげられるように、原子配列が内層と外層でそろうように並ぶことやの外層からたたき出され、層間に保持されること、さらには内外層のナノチューブの原子配列は相関があり、内外装とも右巻きや左巻きというように互いに配列をそろえる傾向があることが明らかになった。これらの結果より、2層ナノチューブの内外層間に強い相互作用が存在し、単層ナノチューブには存在しない特性があることを初めて明らかにした。さらに、このような相互作用を調べるため、ラマン分光(成果4)や蛍光発光、走査型トンネル顕微鏡などでこの2層ナノチューブを観測した(成果6)。その結果強い内外層間の相互作用により、外層から与える化学薬品などによる変化がそのまま内層の電子状態を変化させ、光学的性質が変化することや、トンネル電流が外層を通じて内層まで導入され外層のSTM像に内層による変調が現れることを明らかにした。従来内層は比較的外層と独立しているのではないかという予想されていたが、本研究ではその予想に反した結果を示すことができた。これにより、2層以上の多層ナノチューブを用いて層間相互作用を積極的に利用する電子デバイスなどへ展開が期待される。このように、本研究で生成・精製手法が確立した高品位2層ナノチューブはその構造均一性と純度から2層ナノチューブの世界的標準物質となりつつある。このような、層間相互作用を決定する層数を決める生成前駆体の直接検出を気相移動能法で試みており、現在結果が得られつつある。
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