2006 Fiscal Year Annual Research Report
微細高精密電子情報用光学レンズ金型製造に関する研究
Project/Area Number |
16510081
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Research Institution | IWATE University |
Principal Investigator |
平原 英俊 岩手大学, 工学研究科, 助教授 (30241491)
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Keywords | 金型 / 離型 / 汚染 / 有機薄膜 / トリアジンチオール / フッ素 / 接触角 / UV硬化樹脂 |
Research Abstract |
本研究では、パーフルオロ基含有トリアジンチオール(RfTD)を有機めっき法により、金属表面上にナノオーダーの撥水被膜を形成することによって表面自由エネルギー制御とその被膜の化学的特性を検討した。そして、有機めっき処理微細パターン金型とプラスチックとの剥離性、射出成型後の金属表面を分析することによってのプラスチック成形におけるRfTD有機めっき被膜の離型特性を検討した。 RfTD被膜は有機めっき処理時間の増加とともにRfTD被膜が金属表面に形成され、XPSスペクトルからニッケル表面にRfTDが形成されたことを明らかにした。RfTD被膜は有機めっき処理だけでは、被膜のTHFに対する不溶化率は50%前後であったが、熱処理によってRfTD被膜の三次元化が進行することを明らかにした。RfTDで有機めっき処理金属表面の水とヨウ化メチレンに対する静的接触角は有機めっき処理時間の増加とともに増大し、ヨウ化メチレンに対して107°、水に対しては125°となり撥水性を示した。RfTD有機めっき処理金属板にワイヤーを固定し、エポキシ接着剤を用いて両者を接着し、接着物の垂直剥離強度を測定した結果、未処理金属での剥離強度は50gfであり、接着剤が金属表面に付着していた。市販の離型剤を塗布した場合、剥離強度は30gfとなり未処理より剥離強度は低下したが、接着剤の一部が付着していた。RfTD有機めっき処理金属では剥離強度が測定不可能となるほど剥離強度は低下し、離型性が非常に良好であることを明らかにした。RfTD有機めっき処理微細パターン金型を用いて、UV硬化樹脂を成形した時のUV硬化樹脂と微細パターン金型との剥離強度測定した結果、未処理の微細パターン金型を用いた時には成形回数が増加するとともに離型強度が増大し、UV硬化樹脂が破壊するほど密着して離型が困難であった。一方、RfTD有機めっき処理微細パターン金型では未処理よりも15倍成形することが可能となり良好な離型性を示した。
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