2006 Fiscal Year Annual Research Report
直線偏光を利用したナノ構造シリコン材料の異方性制御
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16510087
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
小山 英樹 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 助教授 (40234918)
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Keywords | ポーラスシリコン / 多孔質シリコン / フォトルミネッセンス / 陽極化成 / 光学異方性 / 偏光 / ナノ構造 |
Research Abstract |
本研究は,光の偏光を利用してポーラスシリコンに光学異方性を形成する技術に関するもので,その異方性形成機構の解明とデバイスへの応用を最終的な目的としている.前年度末,照射光源として比較的強度の高い赤外レーザー光を用いたところ,非常に顕著な発光直線偏光度異方性を得ることができた.そこで本年度は特にこの赤外レーザー光照射の効果について詳細な検討を行った.本年度得られた主な研究結果を以下に示す. 1.赤外レーザー光照射により得られる顕著な異方性の評価 この異方性は,照射光の偏光に対して垂直な方向に直線偏光度が最大になるもので,光化学エッチングが支配的な状態で形成されるものと考えられる.射光強度依存性を測定したところ,照射光の偏光方向に垂直な方向の直線偏光度は照射光強度によらずほぼ一定であり,照射光の偏光方向に平行な方向の直線偏光度のみが照射光強度の増加とともに減少していることがわかった.これは光化学エッチングによりシリコンナノ構造の異方性が低減するモデルで説明できる.この実験結果をもとに,試料中の異方性シリコンナノ構造を線形振動子でモデル化し,直線偏光度のシミュレーションを行った.線形振動子が平面内に分散した2次元モデルで,実験結果を十分再現できることがわかった. 2.深さ方向の均一化の試み 上述した異方性の励起波長依存性を測定したところ,試料の表面付近にのみ大きな異方性が存在することがわかった.均一化を図るためには,光化学エッチングではなく電気化学エッチングが支配的になる条件で試料作製を行う必要がある. 3.新たな異方性形成/安定化法の開発を目指して 直線偏光照射下で試料を陽極酸化し,安定性に優れた異方性試料を得ることを試みたが,本年度の実験においては検出しうるほどの異方性は確認できなかった.これは陽極化成と陽極酸化とでは照射光の影響が大きく異なることを示している.
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Research Products
(2 results)