2004 Fiscal Year Annual Research Report
DNAマイクロアレイを用いたヒト癌細胞系列間でのS期内複製時期の比較解析
Project/Area Number |
16510144
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
渡辺 良久 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 助手 (00362187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椙村 春彦 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 教授 (00196742)
池村 淑道 総合研究大学院大学, 葉山高等研究センター, 教授 (50025475)
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Keywords | S期内複製時期 / がん抑制遺伝子p53 / ゲノム不安定性 / DNAマイクロアレイ |
Research Abstract |
正常細胞が癌化にむかう各段階のゲノム機能の変化を、S期内複製時期を指標にして解析することを目的として、本年度においては、p53癌抑制遺伝子をノックアウトしたヒト培養細胞HCT116およびその野生株の複製タイミングの比較解析をおこなった。ヒトゲノム全域を対象にしたS期内複製時期の測定をおこなうため、DNAマイクロアレイを用いて解析をおこなった。具体的には、対数増殖期のヒト培養細胞を60分間ブロモデオキシウリジン(BrdU)で標識した後、セルソーターを用いDNA含量に基づいて、S期前半(SE)および後半(SL)とS期内を二分割し、細胞を分取した。各分画について免疫沈降法によりBrdUで標識した新生鎖DNAの精製をおこなった。次に、各分画のBrdUで標識された新生鎖DNAを、ランダムプライマーを用いて、非特異的ならびに均一的にPCR法により増幅した。次に、S期前半の分画の新生鎖DNAを蛍光色素Cy3で標識し、S期後半の分画の新生鎖DNAをCy5で標識した。Cy3およびCy5で蛍光標識された各サンプルについて、ヒトゲノム全域をカバーするDNAマイクロアレイを用いて、ハイブリダイゼーションをおこない、シグナルの検出、シグナルの画像化ならびに数量化などのデータ解析をおこなった。DNAマイクロアレイは、遺伝子数25,000を含むHuman DNAchip Consortium(Human 25K cDNA MicroArray)を使用した。S期前半に複製する部位はCy5による蛍光色素、S期後半に複製する部位はCy3による蛍光色素、またS期中期に複製する部位はCy3とCy5の中間的色素に対応すると判定し、各部位の複製タイミングを測定した。 p53癌抑制遺伝子をノックアウトしたヒト培養細胞HCT116およびその野生株の間の複製タイミングを比較解析した結果、両者の間で、複製時期の異なるゲノム領域が存在することが判明し、その領域を特定することができた。今回の解析から、癌抑制遺伝子p53は、ヒトゲノムの複製開始時期の制御に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)