2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16510147
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
赤間 一仁 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (50252896)
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Keywords | tRNA / ゲノミクス / シロイヌナズナ / アンバー・サプレッサー / パーティクルガン / GFP |
Research Abstract |
高等植物で初めて全ゲノムDNA配列が解読されたシロイヌナズナは562の核tRNA遺伝子の存在が推定されており、その網羅的なtRNA機能発現解析(tRNomics)が植物tRNA研究の大きな課題である。本年度は、シロイヌナズナtRNA変動の解析と生体内tRNA発現解析系の確立を行った。 (1)種子登熟過程でのtRNAの変動:花芽・花・未熟種子・完熟種子から全tRNAを抽出し、全tRNA種の検出をカバーする特異的DIGプローブを用いて発現量の測定を行った。この結果、完熟種子では、開始メチオニン・伸長メチオニン・セリン・フェニルアラニン・ロイシン・アルギニン・バリン・トリプトファン・スレオニン・アスパラギンtRNAは発現していないののに対して、グルタミン・アスパラギン酸・グリシン・ヒスチジン・アラニン・システイン・イソロイシンtRNAは未熟種子に比べてやや低下しており、リジン・プロリン・グルタミン酸tRNAはむしろ上昇していた。また、登熟過程ではグルタミンなどいくつかのtRNA種の発現増大が観察され、これらはシロイヌナズナの12Sグロブリン、2Sアルブミンの使用頻度の高いアミノ酸と一致した。前者から、完熟種子中で高濃度に蓄積しているtRNAは種子の乾燥適応機構と何らかの関連が予想される。後者より、登熟過程で特定のtRNA発現は貯蔵タンパク質発現と連動していると考えられる。 (2)GFPを用いた生体内核tRNA発現解析系の構築:sGFP(静岡県立大学・丹羽博士から分譲)の開始コドンから4番目のリジンコドン(AAG)をアンバーゴドン(TAG)に改変したsGFP/amberカセットとアラニンコドン(GCT)に改変したsGFP/Alaカセットを構築した。これらカセットをCaMV35Sプロモーターとnosターミネーターの間に組込んだ。得られたプラスミドをパーティクルガン法でタマネギ表皮細胞に導入して、一過的な発現を調べた。蛍光顕微鏡を用いた観察から、sGFP/amberは蛍光シグナルが検出されなかったのに対して、sGFP/Alaは野生型sGFPと同程度の蛍光強度・頻度でシグナルがされた。sGFP/amberと生体内での高いサプレッサー活性が報告されているタバコのアンバー・サプレッサーtRNA^<Ser>を共発現させた結果、低頻度ではあるが、蛍光シグナルが観察され、tRNA発現の組織・ステージ特異性が検出可能であることが分かった。
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