2006 Fiscal Year Annual Research Report
超好熱古細菌由来アミノアシル-tRNA合成酵素によるtRNA認識の分子機構
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16510154
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
長谷川 典巳 山形大学, 理学部, 教授 (60095023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 宏太郎 山形大学, 理学部, 助手 (80361244)
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Keywords | tRNAアイデンティティー / 古細菌 / Aeropyrum pernix K1 / ヒスチジンtRNA / ヒスチジル-tRNA合成酵素 / 分子進化 / 非天然アミノ酸 |
Research Abstract |
超好熱古細菌Aeropyrum pernix K1のヒスチジル-tRNA合成酵素についてのクローニングと発現を行い、これらの発現酵素の活性を確認した。同時にヒスチジンtRNAのヒスチジル-tRNA合成酵素による認識部位の同定を行った。A.pernixのトータルDNAから、ヒスチジル-tRNA合成酵素遺伝子の上流あるいは下流にHis-タグを、また下流にS-タグをデザインしたプライマーを用いてPCRで増幅し、これをpCR2.1プラスミドにTAクローニングした。これを発現ベクターであるpET30にサブクローニングし、大腸菌JM109に形質転換した後、アンピシリン耐性コロニーを選別し、ミニプレサンプルについてDNA配列を確認した。これにより目的のクローンが得られ、発現にも成功した。菌体の熱処理で大腸菌タンパク質を熱変性で除去した後、Ni^<+->NTAカラムによるアフィニティークロマトグラフィーおよびシバクロンクロマトグラフィーで精製することができた。tRNA転写物については、ヒスチジンtRNAの野性型および各部位に変異を導入したtRNA転写物を作製した。これらtRNA遺伝子の上流にT7プロモーターを有するDNAを用いて、オーバーラップPCRで鋳型を調製した後、pUC19にクローニングした。適当なクローンを選別後、プライマー依存PCRで、アンチコドン、識別位塩基、アクセプター部位を中心とするtRNA変異体を多数作製し、発現させたヒスチジル-tRNA合成酵素による認識部位の同定を行った。ヒスチジンtRNAは、アンチコドンの認識が非常に弱く、この特徴は生物界共通であった。また、識別位塩基の認識も弱かった。アクセプターステム領域にも認識部位は認められず、マイナス1Gのみが強い認識部位となっていた。これらの認識パターンは大腸菌と共通であったが、マイナス1Aをもつ変異体は野性型tRNAよりも活性が強く、この特徴はA.pernix独特のものであった。アンチコドンをナンセンスコドンに変換しても、ヒスチジンの受容活性は大きく保持されており、この特徴はヒスチジンtRNAに非天然アミノ酸を活性化できれば、mRNAのナンセンスコドン中に非天然アミノ酸を導入出来る可能性を示すものと考えられる。
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Research Products
(5 results)