2007 Fiscal Year Annual Research Report
超好熱古細菌由来アミノアシル‐tRNA合成酵素によるtRNA認識の分子機構
Project/Area Number |
16510154
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
長谷川 典巳 Yamagata University, 理学部, 教授 (60095023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 宏太郎 山形大学, 理学部, 助教 (80361244)
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Keywords | トリプトファン1RNA / トリプトファニルー1RNA / 1RNAアイデンティティー / 古細菌 / 進化 |
Research Abstract |
超好熱古細菌Aeropyrum pernix K1のゲノムデータベースからトリプトファンtRNAの2次構造を推定すると、通常7塩基からなるアンチコドンループが8塩基となり、異常な構造を示すことが推測された。その真偽を検討するため、A.pernixのtRNA画分を用いてトリプトファンtRNAのRT-PCRを行い、野生型tRNAの配列を決定した結果、得られた配列はデータベースで示されたものとは異なり、G31塩基が欠失した配列と一致した。以後このtRNAを野生型として用いた。認識部位を解明するにあたり、トリプトファニル-tRNA合成酵素(TrpRSAP)を用いて、大腸菌及び酵母のトリプトファンtRNAについて異種生物間トリプトファニル化活性を測定したところ、共にトリプトファニル化活性は検出されなかった。これらの結果はから、TrpRSAPはアンチコドン以外にも認識部位をもつことが推測された。従って、大腸菌で認識に関わっているとされるアクセプターステムに種々の変異を導入し、野生型トリプトファンtRNAのトリプトファニル化活性を比較したところ、識別位塩基、アクセプターステム末端の1番目と2番目の塩基対が認識されていた。また、通常はーリン酸である5'末端を三リン酸にするだけでトリプトファン受容能が著しく低下するという興味い現象がみられた。アンチコドンの認識については、C34、C35は厳密に認識されているが、A36の認識については弱いことが明らかとなった、以上の結果から、塩基配列が大きく異なっているにも関わらず、TrpRSAPによるトリプトファンtRNAの認識部位は、真正細菌の場合とかなり類似していることが分った。しかし、アクセプターステム部位とA36の認識が比較的弱いという真核生物の特徴をも有しており、A.pernixのtRNA認識機構は真正細菌と真核生物の中間の性質を示し、古細菌のtRNAとARSの分子進化を考える上で大変興味深い。
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Research Products
(10 results)