2006 Fiscal Year Annual Research Report
サンゴとの共生に関与する褐虫藻遺伝子の同定および機能と発現の解析
Project/Area Number |
16510157
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 俊樹 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (00272526)
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Keywords | サンゴ / 褐虫藻 / 共生 / 遺伝子発現 / クローニング / 白化 / サンゴ礁 |
Research Abstract |
この研究は、多様な海産無脊椎動物・原生動物と共生する褐虫藻(Symbiodinium spp.)において、自由生活時に比べてサンゴとの共生時に発現の上昇する遺伝子を同定・解析することを目的として開始した。そのために、PL-TS-1褐虫藻が感染したウスエダミドリイシ稚サンゴを用いて、共生状態と非共生状態で発現レベルの異なる褐虫藻mRNAを同定することを目指した。この共生系は褐虫藻の遺伝子発現の変化を調べるには不適であると考えられた(16および17年度報告書)が、そのかわり、褐虫藻の存在下で発現の上昇するサンゴのmRNAを2つ同定することができた(AtSym-01および02)。今年度は、以下の3つの研究を行った。 (1)AtSym-01の全長cDNA配列の解析を行い、このタンパク質が脊椎動物のSLC26A11という硫酸イオントランスポーターのオーソログであることを見出した。また、このタンパク質に対する抗体を作成し、サンゴ体内におけるタンパク質の分布を調べた。その結果から、AtSym-01タンパク質は組織の成長や骨格の形成に必要な硫酸化高分子(硫酸化多糖など)の形成を行う細胞に硫酸イオンを取り込む役割を担うことが推測された。 (2)褐虫藻(PL-TS-1系統)のアクチンcDNAの単離と解析を行い、二種のcDNA(SyAcy-A1およびA2)を同定した。次に、これらの非共生状態と共生状態における発現レベルを比較したところ、A1とA2は共生状態で発現がそれぞれ2倍および8倍程度上昇していると推測された。 (3)サンゴプラヌラ幼生と褐虫藻から得られたcDNAクローンの小規模EST解析を行い、褐虫藻由来cDNAの方が平均GC含量が有意に高いことを見出した。共生状態の稚サンゴから得られたESTの小規模解析(約500)も行ったところ、cDNAクローンの約95%がサンゴ由来であると推測された。
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Research Products
(2 results)