2005 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌かく乱化学物質およびその代謝物の生体内における動態予測
Project/Area Number |
16510158
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
赤松 美紀 京都大学, 農学研究科, 助教授 (70183134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 正弘 京都大学, 農学研究科, 助手 (80324664)
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Keywords | 内分泌かく乱化学物質 / 代謝物 / 人工膜透過性 / P-gp / 構造活性相関 / 農薬 / ABCトランスポーター / 生体内動態 |
Research Abstract |
昨年度,問題となった高疎水性化合物の人工脂質膜透過係数を,昨年度確立した条件で測定した.すなわち,内分泌かく乱化学物質,農薬などを含む27化合物を5%あるいは20%DMSOを含有するTris-HCl buffer(pH7.3)に溶解した.疎水性フィルターにレシチンを吸着させて人工脂質膜を調製し,これら27化合物の透過係数を実測した.これら27化合物の物理化学的パラメーター値を算出し,その値を,医薬品および一般化合物で得られた構造-透過係数相関式に当てはめたところ,透過係数の予測値が-4より大きい化合物においては実測値の方が予測値より低く,予測値が高いほど実測値との差は大きくなる傾向が認められた.この原因として,人工脂質膜透過性が高い化合物では,膜の表面付近に存在する非撹拌水層に対する透過が律速となり,実測される透過係数は化合物本来の透過性を表していないのではないかと考えられた.そこで,donorおよびacceptorウェル中の溶液を撹拌することにより,非攪拌水層を薄くして透過係数を測定した.攪拌した条件下での高疎水性化合物の透過係数は撹拌しないときよりも数倍高かった. 疎水性の低い化合物の透過係数は,撹拌および非撹拌条件のいずれの条件で測定しても大きな変化が認められなかったため,高疎水性化合物の透過係数を撹拌条件で再測定し,求められた透過係数の対数値をこれまでの化合物データに加え,再解析した結果,以前とほぼ同じ式が得られた.このことから,高疎水性化合物においても,それらの膜透過性を支配する因子は医薬品および一般的な有機化合物と同じであることがわかった.すなわち,得られた構造-透過性相関式は化合物構造に依存せず,普遍的な式であることが示された.
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