2005 Fiscal Year Annual Research Report
棘皮動物ヒトデ類の含有する糖尿病に対する新規医薬素材の探索
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16510163
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
稲垣 昌宣 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (90274480)
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Keywords | 棘皮動物 / スフィンゴ糖脂質 / ヒトデ / 糖尿病 |
Research Abstract |
二型糖尿病モデルマウス(db/db系マウス)に対して血糖降下作用の見られた棘皮動物ヒトデ類のスフィンゴ脂質について分離精製、および半合成による調製を行った。 昨年度試料動物として用いたヤツデスナヒトデの他、今年度はマンジュウヒトデ、オニヒトデについて、スフィンゴ脂質の抽出・分離・精製操作を行った。マンジュウヒトデのセレブロシド分子種は棘皮動物には非常に珍しいガラクトセレブロシドであった。逆相HPLCを用いて分離することにより分子種から単一のガラクトセレブロシドが得られた。 オニヒトデは他のヒトデ類と比較してスフィンゴ糖脂質、特にセレブロシドを豊富に含有することがわかっている。今回、このオニヒトデ由来セレブロシドを材料としてセラミドの半合成(再構成)を行った。すなわち、オニヒトデより得られたセレブロシド分子種をメタノリシスすることによりα-オキシ脂肪酸メチルエステル、長鎖塩基、メチルグルコシドを得た。そのうち長鎖塩基はアセチル化し逆相HPLCにてアルキル鎖の長さに応じて単離し、アルカリ処理により脱アセチル化して単一の長鎖塩基を得た。同様にα-オキシ脂肪酸メチルエステルも逆相HPLCにてアルキル鎖の長さに応じて単離し、アルカリ処理によってα-オキシ脂肪酸へと変換した。得られた長鎖塩基とα-オキシ脂肪酸をアミド結合させることにより数種の光学的にも純粋な単一のセラミドを高収率で得ることができた。 以上のように、スフィンゴ糖脂質分子種より単離または再構成することにより単一の化合物を調製することができた。これらは分子種において病態モデルマウスに有効性の見られたスフィンゴ脂質の構造活性相関の検討に有用である。
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