2004 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫社会性行動の獲得・発現・発達とその制御に関する化学生態学的研究
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16510173
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Research Institution | Foundation for Advancement of International Science |
Principal Investigator |
笹川 浩美 財団法人 国際科学振興財団, 研究開発部, 専任研究員 (80211936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 茂 筑波大学, 生命環境科学研究科, 講師 (30239131)
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Keywords | 社会性行動 / 化学生態学 / 情報化学物質 / セイヨウミツバチ / 寄生ダニ / 異物認識 / ニホンミツバチ / グルーミング行動 |
Research Abstract |
社会性行動(衛生グルーミング行動)を解発する情報化学物質(グルーミング行動解発因子)の同定:ニホンミツバチ働き蜂は,寄生ダニ(Varroa destructor)に対して,ダニの寄生に気づき,他個体に付着したダニを咬みとって殺す異個体間衛生グルーミング行動を行う.一方,セイヨウミツバチはダニに対するグルーミング行動を行わない.ニホンミツバチは暗い巣の中でダニの存在を探知し,ダニ由来の情報化学物質を手がかりにしてグルーミング行動を行っていると推定された.そこで(1)暗い巣内のミツバチの社会性行動の観察・記録の可能性を探る目的で,小型暗視行動観察記録装置を用い,ニホン・セイヨウの両ミツバチの巣内に設置し,ミツバチ働き蜂の平常時の行動および,衛生グルーミング行動を記録解析すること試みた.その結果,暗く狭い巣内でのミツバチの行動観察は難しく,巣内への設置方法や装置の形状など,改良を施す必要性のあることが明らかになった.(2)寄生ダニに焦点をあて,ニホンミツバチ働き蜂のグルーミング行動を解発する因子について検討した.あらかじめ10匹-の働き蜂を入れたシャーレを用意した.そこへ寄生ダニ側を背部に固定あるいは,寄生ダニの抽出物を背部に塗布した働き蜂をシャーレ内へ導入し,実験的に異個体間グルーミング行動が解発されるかどうかの生物試験を行った.寄生ダニや寄生ダニの溶媒による抽出物は,衛生グルーミング行動を再現した.(3)ダニ抽出物を各種クロマトグラフィーで分画し,各画分を生物試験して活性を確認すると同時に,機器分析を行って候補化合物を検索した.その結果,ダニ由来の抽出物には炭化水素類・脂肪酸類・エステル類などの化合物が複数含まれていることが明らかになった.(4)これらの研究成果について,日本昆虫学会,日本応用動物昆虫学会,国際化学生態学会,国際昆虫学会において発表を行った.本研究で得られた結果のまとめは,学会誌への投稿を予定している.
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Research Products
(1 results)