2004 Fiscal Year Annual Research Report
クオラムセンシングに基づいた細菌の情報伝達を制御する方法に関する研究
Project/Area Number |
16510175
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Research Institution | Suntory Institute for Bioorganic Research |
Principal Investigator |
堀川 学 財団法人サントリー生物有機科学研究所, 研究員 (70270569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舘田 一博 東邦大学, 医学部, 講師 (20236558)
石井 良和 東邦大学, 医学部, 助手 (90246695)
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Keywords | クオラムセンシング / 緑膿菌 / autoinducer / 分子モデリング / 分子プローブ / 自己誘導因子 / アポトーシス / N-3-oxo-dodecanoyl-L-homoserine lactone |
Research Abstract |
本研究3年計画の1年目を実施し、以下の項目において研究の成果が得られた。 (1)緑膿菌のクオラムセンシングを制御するautoinducer(自己誘導因子)のひとつであるN-3-oxo-dodecanoyl-L-homoserine lactone (3-oxo-C_<12>-HSL)とこれが作用する転写調整因子LasRの分子モデリングからデザインした3-oxo-C_<12>-HSL誘導体の合成を行った。LasRによる3-oxo-C_<12>-HSLの認識は、5つの水素結合とホモセリンラクトン環やアシル側鎖におけるLasRと疎水-疎水相互作用によることから、水素結合に関与する官能基を除去した誘導体などを各種合成した。また、3-oxo-C_<12>-HSLのアシル側鎖に着目し、嵩高い置換基を導入した誘導体も各種合成した。現在、クオラムセンシングアッセイ系を構築し、3-oxo-C_<12>-HSL誘導体によるクオラムセンシング阻害活性を評価している。 (2)我々は既に、緑膿菌のautoinducerである3-oxo-C_<12>-HSLが、好中球やマクロファージなどの免疫系細胞のアポトーシス誘導に関与していることを明らかにしているが、緑膿菌感染症と免疫系細胞におけるアポトーシス誘導の関係については明らかになっていない。これらのことを明らかにするために、幾つかの実験を行った。 ・3-oxo-C_<12>-HSLが作用する分子を同定するためには、光ラベル-3-oxo-C_<12>-HSL誘導体や3-oxo-C_<12>-HSL-アフィニティーカラムなどの分子プローブが必要になる。そこで、まず、アポトーシス誘導に必要な構造情報を得るために、様々な3-oxo-C_<12>-HSL誘導体を合成した。その結果、アポトーシス誘導には、L体のホモセリンラクトン環とアシル側鎖のβ-カルボニル基が必須であること、また、アシル側鎖の長さは炭素12個以上で、末端は疎水性官能基である必要があることを明らかにした。現在、これらの情報に基づいて幾つかの分子プローブを合成している。 ・3-oxo-C_<12>-HSLによるアポトーシスの阻害剤は、緑膿菌感染症と免疫系細胞のアポトーシスの関係を明らかにすることが期待される。そこで、上記で合成した誘導体のうち、アポトーシス誘導活性を示さなかった誘導体のアポトーシス阻害活性について検討したが、現在のところ阻害剤の発見には至っていない。
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Research Products
(2 results)