2004 Fiscal Year Annual Research Report
河川上流域の水生昆虫の分布と遺伝的多様性に基づく保全生物学的研究
Project/Area Number |
16510180
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
倉西 良一 千葉県立中央博物館, 生態環境研究部, 上席研究員 (10250143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 亨 つくば国際大学, 産業社会学部, 助教授 (20265234)
東城 幸治 信州大学, 理学部・生物科学科, 助手
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Keywords | 水生昆虫 / 遺伝的多様性 / 分布 / 保全生物学 |
Research Abstract |
河川上流部に生息するカゲロウ類、カワゲラ類、トビケラ類の分布域を明らかにする目的で調査を行った。それぞれの種の分布域から、独立した個体群を抽出、個体群間の遺伝的多様性をDNAを解析することから推定した。これらの調査によりどのような水生昆虫のグループに絞り込むべきか検討を行った。その結果、河川上流に生息するさまざまな水生昆虫の中でもガガンボカゲロウ類、トワダカワゲラ類、ナガレトビケラ類の幼虫は河川源流域の冷たい湧水や細流に生息し、成虫が無翅だったり飛翔力が弱いため分散能力が低く、さらに分布が局所的で特殊な環境に適応しているため研究材料に適していることが分かった。これらのグループの種内の遺伝的多様性の程度を明らかにすることによって種の環境適応力、分散能力、個体群間の類縁性について推定し、種あるいは個体群の保全をするための手法について基礎的な知見を得ることを目的とした。 現在まで日本産ガガンボカゲロウ2種、日本産トワダカワゲラ科4種について遺伝子解析を行った。各種ともに解析した地域個体群の数が少ないため種内における遺伝的変異の度合いはまだ明らかではないが、トワダカワゲラ科4種は、ガガンボカゲロウ2種と比較すると明らかに遺伝的変異が小さい。現在のところ、トワダカワゲラ科は大陸起源で、朝鮮半島から日本に入り分布を広げ、種分化は比較的新しい時代に生じたのではないかと考えている。種内の遺伝的多様性は低く、環境の変化に対して脆弱な生物であると思われる。遺伝的研究はトワダカワゲラ科の保全を考える上で重要な貢献をするものである。
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