2004 Fiscal Year Annual Research Report
中朝をめぐる歴史認識とその今日的動態についての考察
Project/Area Number |
16510184
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
成澤 勝 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (00180539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳田 賢二 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教授 (90241562)
上野 稔弘 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教授 (10333907)
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Keywords | 高句麗 / 歴史認識 / 中朝間問題 / 古代史 / 渤海 / 東北工程 / Diaspora / 民族問題 |
Research Abstract |
本研究課題の最大の意義は、ことに高句麗史をめぐる歴史認識問題の背景を中国および朝鮮半島地域の現代的事象(政治・言語・文化・教育等)の視点から分析する点にある。歴史評価は往々にして現代社会のさまざまな思惑から、学術的客観性を逸脱して多方面への問題へと波及する可能性をはらんでいる。そうした傾向を排除して、この地域に共生をもたらす歴史認識の形成は如何にして可能となるのか。本研究課題はこうした課題への一定の解答を得るための具体的且つ詳細な資料・データをまとめ上げようとするものであった。 本年度は中国集安地域および北朝鮮平壌地域といった海外、また奈良地方のような国内においてフィールドワーク、文献調査の両面から研究を実施し、加えて、専門家の見解を収集しながら高句麗史研究の特徴(特に歴史評価に焦点を絞る)を調べ、同時に社会での見方(世論等)と政治的動きについて基本認識を築いた。とりわけ、同時代的古墳でありながらも日本の古墳時代のものと高句麗のものとの位置差(垂直位相差)の物語る理由に一定の仮説を得ることが出来たし、また一方中国で唯一の高句麗史学博士学位保持者である朴燦奎・延辺大学教授(東北大学大学院環境科学研究科客員研究員・日本学術振興会フェロー)を招いた講演会や毛利和雄・NHK解説委員との意見交換等によって中国での高句麗史論議の歴史的流れを押さえることが出来た。 現在、中間報告に向けて原稿の整理中である。
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