2004 Fiscal Year Annual Research Report
米中露の第一次資料と聞き取り調査による朝鮮戦争の統合的な研究(1945〜56年)
Project/Area Number |
16510187
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
森 善宣 佐賀大学, 文化教育学部, 助教授 (30325584)
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Keywords | 朝鮮戦争 / 中国人民志願軍 / 朝鮮人民軍 / 党案件 / 毛沢東 / 彭徳懐 / 朴一禹 / 朴憲永 |
Research Abstract |
研究計画に従い夏季と春季の休暇期間、中国での関係資料の調査と収集ならびに朝鮮族を主要な対象として聞き取り調査をおこなった。7月中旬に訪韓してソウルの歴史問題研究所や延世大学校大学院で予備調査、8月上旬には第2回世界朝鮮学大会での報告を兼ねて平壌で関係者との接触を行った。これら事前準備の上、8月29日〜10月9日に訪中した。 まず9月中、北京の新明基賓館(旅館)に滞在しながら中国国家図書館、北京大学、人民解放軍出版社、中国共産党文献出版社などで資料調査とその収集を行った。合わせて聞き取り調査に必要な中国語の基礎会話能力を習得するため平日午前中に中央戯劇学院(短大)の4週間コースを履修した。中国では英語が通じず、この会話能力を活用して初めて現地で研究活動に従事できた。 特に近接する延辺朝鮮族自治州を9月10〜14日に訪問し、延辺大学中朝韓日関係史研究所などで研究協力者を獲得すると共に、資料収集を行うことができた。9月24〜25日には太原の江西医科大学第一病院を訪問、朝鮮戦争当時に元朝鮮人民軍政治委員だった在中朝鮮人K氏から聞き取り調査を実行できた。同時に彼の手になる自筆の証言史料の購入も約束できた。 次に春季には2月2〜7日、北京大学で開催の第2回世界韓国学大会後に北京と太原を再訪し、収集し残した資料の確認調査と証言資料の購入にあたった。北京大学朝鮮文化研究所では所謂「党案件」について関係者からその存在を確認、後日これを調査する道が開けた。太原では資料を購入しようとK氏宅へ赴いたが、身辺保護と引き替えに政治活動を自粛するとした中国政府との約束に抵触し、資料の公開が生命の危険につながると言うK氏の主張を受け入れざるを得ず、資料の公開は延期されることになった。 本年度の研究活動により朝鮮戦争に中国人民志願軍が介入する過程とその後の実情を詳細に調査できただけでなく、貴重な諸資料の所在も確認できた。K氏からの聞き取り調査を含め、今後の研究活動で更に深く広い探求を続ける。
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Research Products
(4 results)