2004 Fiscal Year Annual Research Report
オセアニア植民地時代における人種間関係の歴史人類学-ニュージーランド統治下サモアを中心に-
Project/Area Number |
16510191
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
山本 真鳥 法政大学, 経済学部, 教授 (20174815)
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Keywords | オセアニア / サモア / 人種 / 植民地統治 / エスニシティ / 白人 / 混血 / ネイティヴ |
Research Abstract |
19世紀の開始前後に、植民地化が開始される。太平洋全体の動きは既に『オセアニア史』編集とともに把握しているが、植民地下サモアでの詳細を研究中である。既にいくつかの論文を発表しているが、地域研究企画交流センターの誘いで、英国議会資料のサモア編の編纂を行い、19世紀サモア史の概要を解題として執筆した。また、既に研究が行われている19世紀およびドイツ時代植民地時代(1900年〜1914年)の人種カテゴリーを巡る研究をまとめる作業を、大阪大学文学部藤川隆男氏の進めている『白人の構造』という論集の1章として執筆し脱稿した。来年度中に完成の予定である。 太平洋関係の植民地時代の人種間関係図書は、現象としての人種間関係の問題は存在するはずだが、それをターゲットとした研究はサモアを除いてあまり見つけることができず難渋している。ニュージーランド、ハワイ、フィジーなどの基礎史料文献から事象を探すべきなのだろう。一方、世界中に目を広げてみると、アメリカ合州国やラテンアメリカでの人種区分の研究が多く見られ、また、近年「白人性」の研究や、混血(mixed race)の研究が盛んになってきているので、こうした書籍も購入した。 パラオ共和国への出張は7日間(2004年7月20日〜26日)行われた。太平洋芸術祭のシンポジウムに出席し、各地区での人種間関係の経験について、事情聴取を行った。植民地支配については忘れがたいルサンチマンとなっていることが伺えた。 ニュージーランドの首都ウェリントンにも11日間の出張(2005年3月7日〜17日)を行い、国立図書館内ターンブル図書館、国立古文書館、ヴィクトリア大学法学部図書館にて資料閲覧。図書館の史料は膨大で、一方閲覧や文献複写が限定されているために、やや時間が足りなかったと思われるが、所定の時間内の割には能率的に動くことができた。 なお、山本が主宰する、国立民族学博物館地域研究企画交流センター共同研究「オセアニア諸社会におけるエスニシティ」の研究会の会合も滞りなく4回行われているが、こちらの研究会も大きな関わりがあり、興味深い成果が生まれつつある。
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Research Products
(3 results)