2005 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダー・階級・人種からみたアメリカ占領軍下日本における買売春-GIの証言から
Project/Area Number |
16510194
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
有賀 夏紀 埼玉大学, 教養学部, 教授 (20114358)
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Keywords | ジェンダー / 軍隊 / アメリカ軍占領下 / RAA / 人種 / 階級 / 性 / 女性 |
Research Abstract |
今年度の研究目標のひとつは、昨年度出版したRAAをめぐる軍隊と性に関する論文の完成度をさらに高め、バークシャー女性史学会において発表することであった。同学会は3年に一度アメリカで開かれ、そこでは各国の第一線の女性史研究者が相互の研究を深め合う。有賀夏紀も6月4日、同学会で"Government-supported Prostitution under the American Occupation of Japan : An Interpretation"と題する発表を行った。この口頭発表をPacific Historical Review誌の編集者から同誌に投稿するようにとの誘いを受けたが、まだ果たせないでいる。今年度のもうひとつの重要な目標はアメリカ占領軍の元GIの証言を集めることにあった。しかし、諸般の事情でひとりの聞き取りを行うことしかできなかった。昨夏面接したクリフォード・ウォーカー氏から、先回聞き落としたことやさらに突っ込んだ内容の話を聴いたのであるが、特に軍隊における人種関係を知る上でこの面接は有意義であった。本研究を完成させるには多くのGIの証言が必要であり、来年度の夏こそ聞き取り調査に集中できることを願っている。 今年度も、本研究の課題である戦争とジェンダーに関連して、9月11日以降のアメリカにおけるジェンダー観の変化(伝統的男性像の復権)とイラク戦争を遂行するブッシュ政権の支持基盤との関係について講演を行った。さらに、本課題の経済的側面としてアメリカの消費文化に関する本を他のアメリカ史研究者と共著で出版した。また、第二次世界大戦後のアメリカによる世界各地域の軍事占領の意味を知るにはアメリカ現代史の理解は欠かせない。この点に関して、『史料で読むアメリカ:アメリカの世紀1920年代〜1950年代』を他の共著者一人と編集出版した。この本は概説、史料の翻訳、史料を中心にした論考から構成されているが、有賀夏紀は、概説の他、アメリカが超大国へと進む過程を示す第二次世界大戦前後の史料に関する論考を執筆した。
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