2005 Fiscal Year Annual Research Report
生涯学習の場としての女性センターと性役割観の変容に関する研究
Project/Area Number |
16510204
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
藤原 千賀 武蔵野大学, 現代社会学部, 教授 (60249042)
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Keywords | 性役割観 / 女性センター / 生涯学習 / 女性学 / ジェンダー / 女性学・ジェンダー関連講座 / 意識変化 / 女性関連施設 |
Research Abstract |
本研究の目的は、男女共同参画社会における生涯学習施設として、女性センターが男女の性役割観の変容に果たす役割について解明することである。 平成17年度においては、前年(平成16年)に全国の女性センターで女性学・ジェンダー関連講座の受講生を対象に実施したアンケート調査を分析し、報告書をまとめ、それをもとにインタビュー調査を行った。 アンケート調査の結果は以下の通りである。 1 講座参加後の性役割意識の変化に注目してみると、男女とも1〜3割の人が意識の変化があったと回答している。結婚、離婚に関する項目では男性で意識変化したと回答した人の割合が多く、男性の介護や女性の経済的自立などの項目では女性で意識変化したと回答した人が多かった。また、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」については男女とも否定する方向に意識が変化している。 2 講座・講演会を企画することへの参画意向に関しては、男女とも希望者が多い。 今後女性センターに期待することとしては、女性は「相談事業」「女性学・ジェンダーに関する学習」、男性は「男性問題に関する事業」「市民企画に関する援助」である。 以上の結果をもとに、平成17年度は上記アンケートで意識が変化したと回答している男女を中心に、インタビュー調査を行った。(女性4人、男性3人) 現在のところ、数は少ないが7人のインフォーマントから得られた結果は以下の通りである。 アンケートの回答は、講座参加後に性役割観の変化があったということであるが、実際に話を聞いてみるとインフォーマントの大部分は講座に参加する以前に意識の変化があり、講座で再確認している(女性3人、男性2人)。講座に参加すること、女性センターに来ること自体が意識変化の表れといえよう。しかし、意識が変化したと回答してはいるが、中には男女の役割分業は必要と考えている場合もあった。 男性インフォーマントは、女性学・ジェンダー関連講座に参加するだけでなく、女性センターのさまざまな事業に参画している。女性センターが募集している「市民企画」にも積極的に応募し、助成金を得て「起業講座」や「男性自立講座」を女性センターで開催する企画に参画している。 女性インフォーマントは、50代以上では講座は自分の考えの再確認のためであった。20代、30代の若い層では講座修了後に別の実践を含む講座に参加し、自立や主体形成に取り組んでいるようであった。
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