2005 Fiscal Year Annual Research Report
プラトンの後期政治思想の展開とアリストテレスへの影響
Project/Area Number |
16520013
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
藤澤 郁夫 上越教育大学, 学校教育学部, 教授 (70002376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 和也 香川大学, 経済学部, 教授 (20153794)
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Keywords | 政治術 / 機織術 / 国政 / ポリスの自然性 |
Research Abstract |
研究代表者の藤澤は、本年度については、後期プラトン政治思想の展開例として『ポリティコス』を研究した。前期政治思想を承けて、プラトンは中期政治思想の集大成『国家』を書き上げた。しかし、中期思想は哲人王の理想を善のイデアと関係づけたが、王の術が何を作り出すのかはまだ不明であった。『ポリティコス』はなによりもこの点を解明する使命をもっていた。対話の進行によりながら、以下の諸点を考察した.1 宇宙における人間の位置、2 政治家ないし王のもつべき知識の特性、3 パラデイグマのパラデイグマ、4 パラデイグマとしての機織術、5 パラデイグマの成果によって政治家を見る、6 プラトンによる国制論、7 唯一正しい国制とその模倣、8 法律の限界と効用、9 政治術の核心に向けて。 研究分担者の斉藤は、本年度は、『政治学』第3巻と第4巻におけるアリストテレスの国制論の相違に注目し、彼がプラトンから受け継いだ国制分類を展開して各国制の下位分類にまで考察の目を向けた理由を研究した。第4巻における理論的発展は、国制の差異の原因が社会経済的諸階層の権力への参与の差異にあることを解明したことである。また、「ポリスの部分(ポリスの機能)」論にも注目した。それらは社会経済的階層と国制の機能とを含むが、これらが並列されているのは、カテゴリーの混乱ではなく、むしろそう考えるのは、我々自身における制度の実体視のせいであって、アリストテレスはこれらをその担い手たるポリス市民(人間)の仕事として捉えていたのである。
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Research Products
(3 results)