2004 Fiscal Year Annual Research Report
セクストス・エンペイリコスにおけるヘレニズム認識論・論理学・言語哲学の研究
Project/Area Number |
16520028
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
金山 萬里子 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (10093189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金山 弥平 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 教授 (00192542)
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Keywords | 懐疑 / 認識 / 論理学 / 対人論法 / セクストス・エンペイリコス / プラトン / アカデメイア派 / ピュロン主義 |
Research Abstract |
本年度は、セクストス・エンペイリコス『学者たちへの論駁2:第7巻-第8巻論理学者たちへの論駁』の翻訳を進めた。その過程において、懐疑主義の対人論法的な性格の実験をセクストスの議論の随所に確認することができた。しかしそこから、懐疑主義者たちは自らの懐疑主義にコミットしないのか、もしもコミットするとすれば、懐疑主義を構成する諸要素のいずれにコミットするのかという問題が出てくるであろう。この問題を考える場合に、アルケシラオス、カルネアデス、セクストスの立場を分けて考える必要がある。これは今後の課題である。 また、『学者たちへの論駁第7巻-第11巻』と『ピュロン主義哲学の概要』の著作の順序については、後者がより整理された議論を含んでおり、より後の時代に位置する著作ではないかとの感触を得ている。 並行的に『学者たちへの論駁第11巻倫理学者たちへの論駁』の翻訳も進めた。これは、セクストスの懐疑主義の戦略についてより広い見地から見通しを得るためである。後者の翻訳の一部は、近く研究代表者の所属大学紀要『人文研究』に掲載する予定である。 研究分担者は、懐疑主義者が行なう議論と密接に関係するプラトン『メノン』における「探求・発見不可能のパラドクス」についても研究を進め、「11.研究発表」の欄に記載の論文を発表した。またそれ以外にも、K.Algra et al.(eds.), The Cambridge History of Hellenistic Philosophy, Cambridge, 1999の書評(『西洋古典学研究』53(2005)掲載)を執筆する過程で、本研究に役立つ数々の知識を得ることができた。
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Research Products
(1 results)