2005 Fiscal Year Annual Research Report
セクストス・エンペイリコスにおけるヘレニズム認識論・論理学・言語哲学の研究
Project/Area Number |
16520028
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
金山 萬里子 大阪医科大学, 医学部, 教授 (10093189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金山 弥平 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 教授 (00192542)
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Keywords | 懐疑 / 認識 / 命題論理学 / セクストス・エンペイリコス / アカデメイア派 / ピュロン主義 / ストア派 / エピクロス派 |
Research Abstract |
本年度も前年に引き続き、セクストス・エンペイリコス『学者たちへの論駁2、論理学者たちへの論駁』の翻訳を進めた。翻訳は、平成18年6月頃に京都大学学術出版会より発行の予定である。翻訳の過程でピュロン主義のみならず、セクストスが参考にしたアカデメイア派およびその論敵であるストア派の立場、さらにはエピクロス派の立場についても研究を進めた。その成果の一部--ストア派の「把握的表象」「命題論理学」、エピクロス派の「確証・確証の欠如・反証・反証の欠如」などの論点--は、翻訳補註で詳しく説明されている。また本書は、ソクラテス以前の哲学思想の主要資料となる多数の断片を含むため、本翻訳および補註は、ヘレニズム哲学の認識論のみならず、初期ギリシア哲学を解明する資料として貴重なものとなることが期待される。 セクストス自身の議論の構造の分析からは、一見無造作に並べられているように見える議論が、実は、非常に周到に準備されたものであり、彼は、先行哲学者たち、とくにアイネシデモスの議論を参考にしつっ、あらかじめ作成したプログラムに従って、ドグマティストたちの立場とそれに対する批判を展開していることが判明した。 また前年同様、研究代表者は、より広い見地からセクストスの議論の特質を把握するために、並行的に『学者たちへの論駁--倫理学者たちへの論駁』の翻訳も進めた。 研究分担者は、懐疑主義に通じるいわゆる「メノンのパラドクス」--「知っているものも、知らないものも探求できない」というプラトン『メノン』で展開される議論--についても研究を進め、「11.研究発表」の欄に記載の2論文を発表した。
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Research Products
(4 results)