2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520032
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三浦 秀一 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80190586)
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Keywords | 中国哲学 / 東洋史 / 荘子 / 荘子注 / 明代 / 方以智 / 王夫之 |
Research Abstract |
研究の最終年度にあたる本年度は、「明代荘学と方以智・王夫之の荘子注」と題する研究発表をおこない(研究集会「中国の思想世界」、2005.8.26、東北大学)、「明善・観我・野同ー明末における桐城方氏の家学とその継承ー」(東洋史研究64-2)および「王夫之『荘子解』における「寓庸」の立場」(中嶋先生退休記念事業会編、中国の思想世界)と題する二編の論文を発表し、また、それらを含む科研費研究成果報告書のなかには、2年間の研究期間より前に発表していた論文「明代荘学史研究のために」の増註・附表版を載せ、これまでの調査結果が一覧できるようにした。 荘子の様々なテキストや幾多の注釈書は、厳霊峯氏による三種の集成がその大半を影印採録しているが、本課題研究の目的のひとつは、その補遺をおこなうことであった。調査の結果、荘義要刪(万暦八年刊、四庫未収書輯要所収)や〓南華真経三註大全(万暦二十一年刊、東北大学図書館等蔵)など、明代荘学史上、重要と思われる数点の書物を発見することができ、その他、厳氏の三種集成に欠けている書籍の封面部分などの収集を経て、明代荘学史を立体的に組み立てたのが、上の増註・附表版である。本研究のまた別の目的は、明代の主要な荘子注に個別的な分析を加える点にあり、研究期間内では、明末清初の思想家である王夫之の『荘子解』の分析結果を文章に著すとともに、同じく方以智の薬地炮荘につながるかれの家学について考察した論考を公刊した。それらの思想にうかがえる「体」批判をふまえた新たな「用」もしくは「事」概念の案出に、荘子という書物がおおきく役だっていたと推察するのである。なお、研究期間内に、朱得之の荘子通義、陸長庚の南華副墨、焦〓の荘子翼などを主題とした論考も文章化すべきであったが、それらは今後の課題としたい。
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Research Products
(3 results)
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[Book] 中国の思想世界2006
Author(s)
三浦秀一(共著)
Total Pages
445
Publisher
イズミヤ出版
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より