2005 Fiscal Year Annual Research Report
清朝中国ムスリム学者・劉智『天方性理』における中国思想とイスラーム神秘主義
Project/Area Number |
16520037
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
青木 隆 日本大学, 文理学部, 講師 (20349947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東長 靖 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究科, 助教授 (70217462)
加藤 茂生 早稲田大学, 人間科学部, 講師 (30328653)
仁子 寿晴 東京大学, 文学部, 助手 (10376519)
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Keywords | 天方性理 / 劉智 / 馬徳新 / 馬聯元 / ミルサード / マクサドアクサ / イブン・アラビー / クーシュヤール |
Research Abstract |
第二年目となる本年は、『天方性理』の巻2及び巻3を中心に解読を進めた。主として、中国古典思想文献との比較はもとより、19世紀に活躍した中国ムスリム学者、馬徳新、馬聯元がアラビア語で著した『天方性理』の解説書を参考に、より立体的に『天方性理』の読解につとめたのも第一年目と同様である。『天方性理』巻3会読の成果の概要として、西方イスラーム文献の受容が判明した箇所についてごく簡単に述べる。 巻3第1章「人生元始」図説 小世界、つまりすべての人間は、アダムの身体に宿った「根種」に始まることを説くこの章と類似の発想が、ラージー『ミルサード』にも見えている。 巻3第6章「霊活顕用」図説 身体が形成されると、人性が具わる。劉智は、人性を「霊活」と呼び、「天から人へ行き、人が天に合一する際の一大機局」であると評している。人性は6種類に分類される。この6つの性(継性・人性・気性・活性・長性・堅定)についての記述は、ナサフィーの『マクサドアクサ』を参照している形跡が見られる。さらに、この章で劉智は、現実の人間の具えている「本性」は先天のときに分与された「本性」に基づくものであると発言しているところに、イブン・アラビー的な概念アアヤン・サービターが見られる。 巻3第9章「知覚顕著」図説 活性がはたらきだすと、人間に知覚がそなわる。脳がすべての知覚を統括し、知覚の刺激に基づいて身体を動かすことが可能になる。黒鳴鳳の按語に、劉智の「人は母の腹の中で七星に照らされて養われる」との説が引かれている。胎児は母体の中で、土星、木星、火星、太陽、近世、水星、月の順に一月ずつ照らされ、さらに二か月間七星に照らされなければならないとするその説は、クーシュヤールの漢訳「天文書」、ナサフィーの『マクサドアクサ』に何らかの関連があると思われる。
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Research Products
(3 results)