2005 Fiscal Year Annual Research Report
中国六朝時代の社会不安と終末観の形成に関する比較思想史的研究
Project/Area Number |
16520038
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
菊地 章太 東洋大学, ライフデザイン学部, 教授 (40231279)
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Keywords | 中国 / 六朝時代 / 比較思想史 / 終末思想 / 敦煌写本 |
Research Abstract |
中国六朝時代(5〜6世紀)には、王朝が頻繁に交代する社会不安に満ちた時代状況の中で、共通する危機感から生まれた儒教の緯書思想と仏教の劫災思想とが混淆し、これらに影響されつつ道教の終末思想が形成された。本研究は、そのような終末思想を形成するいくつかの要素を比較思想史的に検討し、その形成過程と社会不安の関係を明らかにすることを目的とするものである。 本年度は、5世紀はじめに成立したと思われる道教経典『女青鬼律』を取りあげた。この経典は劾鬼法すなわち鬼を制圧し駆逐する方策を示したものである。六朝時代の人々の意識の中では、疫病や自然災害などの災厄はいずれも鬼がもたらすものとされており、社会不安にもとづく終末観がその根底にあると考えられる。この経典を資料として活用するための基礎作業として、以下の敦煌写本を翻刻・校訂した。 [1]フランス国立図書館所蔵敦煌写本ペリオ2395番、[2]同2432番、[3]同2753番、[4]同3297番、[5]同3356番、 [6]大英図書館所蔵敦煌写本スタイン986番、[7]同1728番、[8]同3370番、 [9]北京大学図書館敦煌遺書D199番、[10]中華人民共和国国家図書館蔵本BD14841L番 以上の写本を翻刻・校訂したものを、さらに道蔵本『女青鬼律』と対校することにより校訂本文を作成し、現代語訳を試みて問題解明のための基礎資料とした。 以上の作業によって、劾鬼法にもとづく救済思想の実態を明らかにすることができた。来年度はこの成果をもとに、六朝道教の救済思想の中にこれを位置づける作業を試みたい。
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Research Products
(2 results)