2004 Fiscal Year Annual Research Report
梵本『マハー・カルマ・ヴィバンガ』を中心とした「鸚鵡経類」の総合的研究
Project/Area Number |
16520047
|
Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
工藤 順之 創価大学, 国際仏教学高等研究所, 講師 (70260122)
|
Keywords | 『カルマ・ヴィバンガ』 / 「鸚鵡経類」 |
Research Abstract |
2004年3月に出版した『マハー・カルマ・ヴィバンガ』サンスクリット写本のテキストを基に、他言語テキストとの照合を行い、総合的な校訂本の作成に務めた。その過程で明らかになったテキスト形成に関する知見を日本印度学佛教学会第53回学術大会にて発表し、工藤2005aとして出版した。これによってこのテキストがサンスクリット語の伝承においては少なくとも二つ(以上)の系統で伝えられてきたことを明らかにし、またチベット訳ではこれまで考えられていた以外の伝承が存在することを指摘した。また、テキストに引用される他文献についても継続的に調査を進め、工藤2005bとして出版した。これは『プールヴァーパラーンタカスートラ』と『デーヴァタースートラ』という二つの経典の引用に関して扱ったものであるが、その両者ともが現存する、或いは別途知られている当該文献とは異なった伝承を反映していることを指摘した。つまり、『カルマ・ヴィバンガ』を伝承していたと思われる或る特定の部派が保持していたテキストが引用・言及されていることを指摘した。 更に、チベット訳校訂本作成の為に、様々な形で出版されている資料(書籍、マイクロフィルム)を収集し、それらの個別テキストを解読し、コンピュータに入力し、データ化している。作業の途中ではあるが、チベット訳にも3種の伝承が存在し、それらがチベット大蔵経の編纂史と密接に関連していることを工藤2005aに指摘した。 また、写本研究、部派仏教研究に関係する諸出版物を収集し、国内外の写本研究の専門家との討議を直接、或いは電子メールにて、定期的におこなった。
|
Research Products
(2 results)