2005 Fiscal Year Annual Research Report
現代の生命論・環境論との関わりにおけるキリスト教自然神学の再構築
Project/Area Number |
16520053
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
芦名 定道 京都大学, 文学研究科, 助教授 (20201890)
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Keywords | キリスト教自然神学 / ティリッヒ / ホワイトヘッド / プロセス神学 / 形而上学 / 進化論論争 / 生命論 / 環境論 |
Research Abstract |
16年度に引き続いて行われた本年度の研究においては、次のような成果が得られた。 1.現代の生命論や環境論との関わりにおけるキリスト教自然神学の再構築に向けて、この再構築の試みが満たすべき基本的方向性と諸条件について、検討がなされた。具体的には、ティリッヒにおける生の多次元的統一の理論、そしてホワイトヘッドとその影響下にある神学者たち(ハーツホーン、カブ、グリュフィンら)によるプロセス思想とについて、詳細な分析が行われた。とくに、進化論論争という問題連関を取り上げることによって、キリスト教自然神学の再構築のためには、その基礎論としての形而上学の構築が不可欠になること、さらには、この形而上学の構築にはキリスト教神学と自然主義の双方の再解釈(→自然主義的な有神論あるいは有神論的な自然主義)が必要になるとの結論が得られた。 2.現代キリスト教思想を代表するギルキー、カウフマン、モルトマン、パネンベルク、マクフェイグらの諸研究を分析することによって、現代キリスト教思想の議論の文脈に、本研究の構想を位置付けることが試みられ、こうした作業から、自然神学の再構築という議論をさらに公共性の問題へと展開する必要があることが明らかになった。これは、自然神学をコミュニケーション合理性の問いとして解釈することの帰結であるが、自然神学の再構築が環境論や生命論といった実践的テーマとの関わりで再構築される場合に、重要な論点となるものである。 3.16年度に引き続き、必要な文献収集を続けると共に、研究会、研究者間の交流が推進された。とくに、研究代表者は、「宗教と科学」研究会(京都大学キリスト教学)を主催すると共に、宗教倫理学会の研究プロジェクトに参加し、南山宗教文化研究所の「科学・こころ・宗教」プロジェクトとの交流を行った。
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