2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520077
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
根立 研介 京都大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (10303794)
|
Keywords | 仏師伝承 / 運慶 / 快慶 / 安阿弥 / 運慶屋敷 / 百済 |
Research Abstract |
本年度の研究実績としては、第一に今後の研究の基礎データとなる文献史料の収集に着手したことが挙げられる。本年度は特に京都に関わる近世地誌類から、仏像制作者に関わる記事を抜き出し、それをコンピュータに入力する作業に進めた。この作業は次年度以降も継続して行っていく予定になっているが、この種の近世地誌類に登場する仏師の伝承の記事が予想以上に多いことがわかってきており、研究の効率を考えて、地域や仏師の時代を少し限定する必要が出てきており、今後は京都を中心とする畿内、及び鎌倉地方における慶派仏師に関わる情報を主に収集することとしたい。次に現地調査であるが、運慶、快慶等慶派伝承作例の確認作業を京都市内で進めると共に、鹿児島市で開催された「新納忠之助」展等、展覧会に出品された仏像による確認作業も行った(佐賀・東妙寺釈迦如来坐像など)。また、鎌倉に関わる近世地誌にしばしば見いだされる、運慶屋敷跡の所在地を確認するための現地調査も行った。この伝承地については、厳密な位置の確認は不可能であったが、運慶屋敷に隣接して存在していたという、名刀匠、正宗の屋敷跡は、所縁の地に建てられたという稲荷社から確認できた。その結果、運慶屋敷の伝承地は、運慶とも関わりの深い北条政子や鎌倉三代将軍実朝の墓のある寿福寺墓地に比較的地が比定されていたことが判明した。なお、海外調査としては、仏像制作者の問題に大きく関わる国籍の問題があり、特に飛烏時代の彫刻伝承で問題となるのが、「百済」である。そこで、この問題に関する検討を行うために、韓国の百済支配地を中心とする現地調査を実施した。
|
Research Products
(3 results)