2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520078
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高階 絵里加 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (80324698)
|
Keywords | 日本近代 / 美術 / 絵画 / ジャポニスム / 歴史画 / 裸体画 / 山本芳翠 / 挿絵 |
Research Abstract |
近代日本美術における「和」と「洋」の諸問題を検討するためのテーマとして、今年度(平成十七年度)は、まず、前年度に行った明治二十年代前後を中心とするパリにおけるジャポニスムの新たな側面についての研究の基礎的作業にもとづき、山本芳翠の『蜻蛉集』挿絵に関して、日本美術の伝統との関連を掘り下げ、一八八〇年代当時のパリにおいてこの作品のいかなる側面が「日本的」と感じられたのか、史料に基づいて検討し、考察を進め、論文にまとめた(「フランスから来た「日本」-『蜻蛉集』挿絵について-」および「山本芳翠の「小鳥の野」装飾壁画-ブルターニュの「日本」」『日仏交感の近代』京大出版会 平成十八年五月刊行予定)。 歴史画概念とその実践の問題については、歴史画・神話画の制作の基礎となる人体表現、とりわけ裸体表現が日本近代美術にいかに導入されたかの問題に関しての基本的史料を収集し、先行研究のまとめを行い、小論を書いた(「日本で裸体を描く-美術と身体-」菊地暁編『身体論のすすめ』丸善 平成十七年四月)。また、明治二十年代に歴史画を描いた高橋由一については、晩年の歴史画の検討のため、東京藝術大学大学美術館および図書館を中心に、絵画作品と下絵やスケッチブックなどの史料の基礎的調査を行い、考察を進めている。 上記の山本芳翠、高橋由一およびその他の関連画家たちの作品調査や下絵・素描類ならびに資料の調査収集は、計7回の東京への出張のおりに行った。 また、近代日本美術、ジャポニスム及び十九世紀から二十世紀にかけての芸術関連の一次資料や復刻資料、カタログ、研究書類を購入した。
|
Research Products
(1 results)