2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520078
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高階 絵里加 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (80324698)
|
Keywords | 日本近代美術 / 竹内栖鳳 / 日本画 / 洋画 / 山本芳翠 |
Research Abstract |
平成18年度は、日本近代美術における「和」と「洋」の諸問題を検討するためのテーマとして、東京と京都における西洋美術受容のあり方の違いに注目した。16〜17年度に行ってきた基礎的作業(作品調査・資料収集その他)を継続しつつ、明治30年代前後を中心に、京都で活躍した日本画家の竹内栖鳳と、晩年を京都で送り、京都の洋画の発展に大きく貢献した洋画家浅井忠の、それぞれの渡欧体験について考察し、ジャポニスムの影響も考慮しつつ、日本における西洋の受容が決して一様ではなかったとの仮説を裏付けるための作品と史料の分析・検討を行った。 また、近代の京都における美術とデザインの結びつき、商業美術の発達や、明治末期の芸術の生活への浸透について考察するため、竹内栖鳳と高島屋美術部の関係に注目し、高島屋美術部百年記念事業の一環として制作された高島屋史料館所蔵作品紹介DVDの解説として、小論を書いた。山本芳翠の『蜻蛉集』挿絵に関して、日本美術の伝統との関連を掘り下げ、一八八〇年代当時のパリにおいてこの作品のいかなる側面が「日本的」と感じられたのか、史料に基づいて検討し、考察を進め、論文にまとめた(「フランスから来た「日本」-『蜻蛉集』挿絵について-」および「山本芳翠の「小鳥の野」装飾壁画--ブルターニュの「日本」」『日仏交の近代』京大出版会 平成十八年五月刊行予定)。高橋由一については、これまでおこなってきた史料と作品の調査にもとづき、晩年の歴史画の検討・分析を進めている。川村清雄の物語・歴史主題の絵画に関しては、《建国》に関する論文をまとめ、それをさらに発展させるべく、引きつづき資料および作品の調査を進めている。
|
Research Products
(1 results)