2006 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける釈迦を表した絵画の種々相と思相的背景の研究
Project/Area Number |
16520089
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Research Institution | Tokai Gakuen University |
Principal Investigator |
渡邉 里志 東海学園大学, 人文学部, 助教授 (30201180)
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Keywords | 仏伝図 / 釈迦八相図 / 涅槃図 / 麦積山石窟 / シカゴ美術館 / ペンシルベニア大学博物館 / フィラデルフィア美術館 / 仏碑像 |
Research Abstract |
平成18年度の調査研究における実績は次の通りである。 1、日本 (1)仏伝図としては、和歌山県高野山の宝亀院に伝わる釈迦八相図(絹本着色、2幅)を調査したことが大きな成果といえる。他にない珍しい場面を含むもので、その解釈は今後の課題である。また、広島県三原市仏通寺に室町時代の釈迦八相図が伝わっていることが判明し、来年度調査を実施したい。 (2)涅槃図としては、和歌山県高野山の遍照尊院本涅槃図、京都府・高台寺の仏伝涅槃図、滋賀県西明寺盆涅槃図、滋賀県上品寺本涅槃図、和歌山県神光寺本涅槃図、和歌山県長保寺本涅槃図、愛知県妙興寺本涅槃図、愛知県甚目寺本涅槃図など多くの作例を調査した。 (3)その他については、滋賀県舎那院の三月経曼茶羅、滋賀県常楽寺の釈迦如来及び四天王像、滋賀県樹下神社の釈迦三尊十六善神像及び大般若経、和歌山県相賀八幡神社の釈迦三尊十六善神像を調査した。特に舎那院本や常楽寺本は異色の図像をとる釈迦画像であり、重要な作例である。 2、中国 (1)麦積山石窟における釈迦関係の作例を調査した。麦積山石窟においては、第1窟の涅槃像、第26窟の涅槃変、第27窟の法華経変、第133窟の10号造像碑、第135窟の分舎利図を調査した。特に第26・27窟においては、法華・涅槃の組み合わせが見られ、重要である。 (2)アメリカにある石仏・石造碑像を調査した。まず、シカゴのフィールド博物館における交脚菩薩三尊(光背裏に半跏思惟像)、シカゴ美術館にある石造仏碑像(大統十七年銘、仏伝図)、フィラデルフィア美術館にある石造菩薩三尊像(光背裏に半跏思惟像)、ペンシルベニア大学考古博物館にある石造仏立像(武定四年銘、光背裏に仏伝図)・石造仏碑像(スダナ太子本生図)・石造台座(スダナ太子本生図)などを調査した。ペンシルベニア大学本は、仏伝図としては特徴的であり、重要作例といえる。こうした石造仏像・仏碑像における仏伝図は、さらに調査を続けたい。 以上の調査結果については、昨年度以前のものも含め、来年度の最終報告書において総合的に報告したい。
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Research Products
(1 results)