2005 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本文学(大正期)データベースの構築と多目的利用の研究
Project/Area Number |
16520116
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
紅野 謙介 日本大学, 文理学部, 教授 (20195671)
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Keywords | 近代日本文学 / 著作年表 / データベース / 文学市場 / 雑誌 / 出版 |
Research Abstract |
本研究は、近代日本文学の個人作家の全集や書誌の整備にともない、こうしたデータをデジタル化し、統合的なデータベースを構築することによって、新たな研究領域の開拓を目指すものである。当面の対象としては、近代日本文学の「成熟期」といわれ、雑誌等の出版が盛んになった大正期の15年間に限定し、データベースの構築と多目的利用の研究を行う。 1年目は、島崎藤村や野上弥生子、谷崎潤一郎などの個別作家の著作リストのなかから小説を抽出して入力作業を行った。2年目の今年度は、宇野浩二、正宗白鳥など新たな個別作家のデータを入力する一方、雑誌「改造」や「青鞜」などの雑誌総目次から小説を抽出してデータ入力した。 こうした作業を行い、データ統合を実現することによって、これまで文学年表のかたちでしか見ることの出来なかった各作家の小説群の横の関係が見えてきた。まだ有名作家に限られているとはいえ、作品の質を問わず、著作データを網羅的にとらえることによって、年月を追うに従って、量的な飛躍が起きてくることが浮かび上がってきた。つまり、作家たちの増加、個々の小説生産力の増大が目に見えるようになってきたのである。これは出版市場とも連携しながら、その助走段階において雑誌創作欄が拡充されていき、小説の需要が高まっていく時期と推測することができる。単行本収録データを参照することによって、雑誌から単行本へのステップ、出版社と個々の作家の関係もデータベースから見えてくるようになった。 データベースでは、出版社での検索も可能になっているので、出版社ごとにどのような作家の単行本が集中的に刊行されているかを見ることも出来る。こうしたことによって、大正期の近代日本文学の物質的な環境がどのように用意されたかがうかがえるようになった。
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Research Products
(6 results)