2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520133
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川中子 義勝 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60145274)
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Keywords | 宗教 / 啓蒙 / 伝統 / 予型 / 形象 / トポス / 讃美歌 / ハーマン |
Research Abstract |
これまで、希望の形象化である「予型論」の様々な展開の中でも特に、死生観に関わる重要な比喩形象を取り上げ、これを系譜的に跡づけ、伝統の批判や継承の文脈においてそれらの果たしてきた役割を明示しようと努めてきたが、その成果をふまえ以下の研究を行った。 敬虔主義や覚醒運動など、近代各時代の人々が死生観の表明する際の比喩の伝統などを、文体の側面から見直したが、宗教改革から19世紀に至る範囲の神学論争などを検討するほか、賛美歌集、説教集、祈祷書など、無名の人々の日常を規定している修辞的伝統をも検証し、「予型論」を文学共同体の修辞的伝統全体のなかに跡づけてきた。 この年度は、以上の過程をふまえ、平成18年度にハレで開催された「国際ハーマン・コロキウム」の経過をも参照し、ドイツの研究水準を見据えつつ、成果をまとめるべく努めた。その一部を『詩学入門』(土曜美術社出版販売、2008年3月刊)で発表すべく準備をした。 これまでの調査・研究報告を執筆し、それらを印刷・刊行できるまでにすべく、関連する分野の研究者と積極的に討議、意見交換を重ねた。また本研究で行った作業方法で達成した部分と、発展的に開かれた展望を統一的視点により把握することに努めた。これまでの成果を、『聖書詩学序説』(仮題)の表題のもとに書物として著すことを目指し、執筆中。これは修辞論・文体論からのドイツ文学の今後の研究のために、重要な基礎を提供することになろう。
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Research Products
(4 results)