2005 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ演劇を中心とした現代表象文化の変容に関する研究
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16520136
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
谷川 道子 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (50038501)
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Keywords | ドイツ / 現代演劇 / イエリネク / ハイナー・ミュラー / ブレヒト / ドイツ戯曲選30 / 新国立劇場 / 文化政策 |
Research Abstract |
昨年度は「日本におけるドイツ年」ということで、本研究テーマは舞台芸術の実践現場とのかかわりが不可分であり、その方面でもかなりの貢献をしたと思う。ドイツからの客演関連での手伝いもだが、ドイツ文化センターの後援で現代を映し出す戯曲を一挙に三十作品、論創社より『ドイツ現代戯曲選30』シリーズとして順次刊行しようという企画に編集委員として加わり、戦後生まれの若い世代を中心にチームを組んで翻訳にあたり、2005年12月から刊行開始、06年3月までに9冊を刊行。拙訳のノーベル賞受賞作家E.イエリネクの『汝、気にすることなかれ』も解題つきで3月に出版。これをドイツ演劇を広める好機にすべく、多くのシンポジウムやドラマ・リーディング、シアター・トークなども企画、そのために研究会を母体として「ドイツ演劇プロジェクト2005」も立ち上げた。 まずは演劇実践現場と関わっての活動から記すと、まずはシンポジウム関連では:皮切りが、2月の両国シアターXでの『ドイツ現代戯曲選30』編集委員5名そろい踏みによるシンポジウム「ブレヒト以降のドイツ現代演劇」、4月シアターXでの公演P.トゥリーニ作『ねずみ狩り』のアフタートークで演出家ペーター・ゲスナーと対談。6月世田谷パブリック・シアターでのドラマ・リーディング・シリーズでの公演P.ハントケ作『私たちが互いを知らなかった頃』のアフタートークで演出家山本清多と対談。7月の俳優座での舞台美術家協会ギルド主催のシンポジウム「ドイツ現代演劇の現在」。10月の日本独文学会京都秋季研究発表会で、新国立劇場監督の栗山民也を迎えてのシンポジウム「演劇のパラダイム転換と新しいタイプの戯曲テクスト」。10月の金沢市民芸術村でのシンポジウム「ハイナー・ミュラー効果と演劇創造都市」。11月の新国立劇場での公演『母・肝っ玉』のアフタートークにて演出家栗山民也や主演大竹しのぶ等の出演者と対談。12月ドイツからDr.ヘルター氏を迎えての総合文化研究所主催水曜文化講座でのコロキウム「文化政策を考える-ドイツの芸術家会館ベターニエンを参考に」の司会・企画。他の翻訳関連では、11月の兵庫芸術文化センターと11〜12月の新国立劇場の双方で公演された『母・肝っ玉とその子供たち』の翻訳を担当。 他にも2冊の研究書を刊行。単著が『ドイツ現代戯曲選30』シリーズへの道案内という意味も込めて、論創社より12月にこれまでの論考をまとめて再編集した『ドイツ現代演劇の構図』。共著としては、3月にぺりかん社より、早稲田大学での演劇COE講座の「演劇論講座」をもとに、岡室美奈子編で内野儀、宇野邦一、大橋洋一、桑野隆、谷川道子共著の『知の劇場、演劇の知』も刊行。好評!
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Research Products
(8 results)