2006 Fiscal Year Annual Research Report
アンジェロ・ポリツィアーノの人文主義・文献学に関する基礎的研究
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16520138
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
榎本 武文 一橋大学, 大学院経済学研究科, 助教授 (60232964)
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Keywords | ポリツィアーノ / 人文主義 / 文献学 / 初期刊本 / 揺籃期本 |
Research Abstract |
平成18年度は,ポリッィアーノの一次文献,すなわち,フィレンツェ大学におけるさまざまな「開講演説」(praelectiones)等の小篇,およびその代表的著作である『雑録』(Miscellanea)を対象として,内容の要約・分析解釈作業を行なうこととした。また,ポリッィアーノに関する研究文献の調査を行なうこととした。そのために、ロンドンのブリティッシュ・ライブラリーとウォーバーグ研究所において文献調査・収集を実施した(2006年8月21日〜9月11日)。以下の11篇,つまりPraefatio in Charmidem, Defensio pro Epicteto ad Bartho. Scalam, Lamia, Panepistemon, De ira ad Laurentium Medicem, Praefatio in Homerum, Praefatio in Quintilianum & Statii Siluas, Praefatio in Suetonium, Dialectica, Praelectio de dialectica, Praelectio in Persiumについてはヴェネツィア版『全集』(Omnia Opera Angeli Politiani [Venetiis,1498])を底本として,またHistoria de Pactiana coniurationeについてはバーゼル版『全集』(Angeli Politiani Opera [Basileae,1553])を底本として,テクストのファイル作成を完了するとともに,内容分析に着手した。さらに,『雑録』についてはフィレンツェ版初版本(Angeli Politiani Miscellaneorum Centuria Prima [Florentiae,1489])を底本として,テクストのファイル作成に着手した。平成18年度の研究によって,フィレンツェ大学教授に就任直後の1480年代前半の比較的平明な文学論・解釈に始まり,1490年代に入り講義対象を拡げてアリストテレス文書`哲学を論じ,さらに晩年には文献学者としてのマニフェストを打ち出すに到ったポリツィアーノの人文主義・文献学の全体像を掴むことができた。平成19年度には,これら講義に基づく小篇に『雑録』を加えて,ポリツィアーノの人文主義・文献学に関する統一的・包括的な見取り図を提示することを目指したいと思う。
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