2006 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ世紀転換用における「文化」とBurgerlichkeitの言説
Project/Area Number |
16520148
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金子 元臣 大阪大学, 言語文化研究科, 教授 (10081605)
|
Keywords | 世紀転換期ドイツ / 文化 / 生の哲学 / 市民性 / ニーチェ / トーマス・マン / ジンメル / ディルタイ |
Research Abstract |
ドイツ世紀転換期、とりわけ1890年代以降急速に産業資本主義が拡大されていく中で変動する社会システムに対応した「文化」の形成への志向が、生活領域の全般にわたって浸透していく。同時期の「文化形成」の背景には、「知」の複合状況がもたらす新たな「知」の形成があった。本研究はこうした「知」が形成する「言説」と「現実形成」の関係を考察するものである。本年は、昨年同様「文献・資料」の調査、収集と分析、解読の作業をおこなった。同時に本年は研究の最終年度であるため、全体を統括する論文を執筆するための作業をおこなった。 1)海外での資料収集のため、主としてベルリンを拠点に、ワイマール、ナウムブルク、ライプツィヒなどの地域で、資料館、図書館、博物館を利用して主として世紀転換期における文化運動、政治活動関連の文書、資料を収集し、知見を深めた。 2)国内では主として北海道大学文学部、言語文化部、スラブ研等で収集されているヴィルヘルム帝政下とハプスブルク帝国下の関連資料を閲覧させていただくと同時に、同大学同僚研究者との意見交換、研究懇談をおこなった。 3)19世紀ドイツの教養市民層が、近代的な教育システムの整備の中で新たな拡大と変動を見せる中で、そこで獲得されていく新たな「知」が、社会での「文化」「文化運動」に持ち込まれていく現象がおこっていた。とりわけ当時哲学、社会学、歴史学、心理学において志向された「生」概念が、「文化」言説に持ち込まれることによる変動の様子が分析された。 こうして得られた成果は、報告書としてまとめられるほか、本学の「言語文化研究科共同研究プロジェクト2006」のなかの企画「文化の解読(7)」で文章化する。
|
Research Products
(1 results)