2004 Fiscal Year Annual Research Report
日仏中世末演劇における聖・俗の象徴体系の総合的比較研究--花と風と火をめぐって
Project/Area Number |
16520156
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
川那部 和恵 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (70332765)
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Keywords | フランス中世末世俗劇 / 聖と俗 / 風 / 火 / 阿呆劇 / 笑劇 / 滑稽説教 |
Research Abstract |
日仏それぞれの中世末演劇において、聖と俗が、融合(「花」により象徴)と離反(「風」と「火」により象徴)の二重の関係にあったことを明らかにし、歴史的な転換期における両演劇の聖・俗のありようを総合的に理解することを目的とする当研究の本年度の計画は、聖史劇との対応関係で、フランスの世俗劇を対象に、「風」と「火」がいかなる聖・俗離反の象徴体系を構成しているかを解明することであった。 研究初年度の本年はまず資料収集に力を注いだ。世俗劇関係の図書をはじめ周辺資料となるフランスおよびヨーロッパの文学、演劇、歴史、民俗学、文化人類学、社会史関連の洋書・和書を広く集め、また、国内の大学図書館や大学付属の演劇博物館等を足繁く訪ねて、門外不出の貴重な資料を多く閲覧、入手することができた。 同時進行で、風と火にまつわるヨーロッパ古来のさまざまの文化圏や領域-例えば神話、民間伝承、象徴、紋章、聖書、キリスト教、文学、絵画他-における象徴の相の網羅的な調査を行なった。ついで、阿呆劇Sotties、笑劇Farces、滑稽説教Sermons joyeux、悪魔狂言Diableriesといった世俗劇各ジャンルの作品群の中から、「風」と「火」のイメージを有するテクストを選び出し、その上で、それらのイメージを、すでに調査済みの、明らかに世俗劇の背景の一端でもある様々な象徴体系とも絡めて、分析・考察し、その聖・俗離反の象徴体系の概要を輪郭付けるに至った。
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Research Products
(2 results)