2005 Fiscal Year Annual Research Report
日仏中世末演劇における聖・俗の象徴体系の総合的比較研究--花と風と火をめぐって
Project/Area Number |
16520156
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
川那部 和恵 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (70332765)
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Keywords | 狂言 / 聖と俗 / 風 / 火 |
Research Abstract |
日仏それぞれの中世末演劇において、聖と俗が、融合(「花」により象徴)と離反(「風」と「火」により象徴)の二重の関係にあったことを明らかにし、歴史的な転換期における両演劇の聖・俗のありようを総合的に理解することを目的とする当研究の本年度の計画は、日本に的をしぼり、能との対応関係において揶揄的なジャンルである狂言を対象として、「風」と「火」がいかなる聖・俗離反の象徴体系を構成しているかを解明することであった。 この計画の実行のために本年度行なった最初の作業は資料の収集であり、狂言関連の書籍・資料(テキストの多様な集成版ならびに研究書や雑誌論文、当時の記録資料など)、および日本の民俗学・社会史関連の書籍・資料(文字文献にとどまらず、絵画、版画、地図など広範な視覚資料をも含む)等を、購入や国内の様々な図書館・資料館における閲覧、複写を通して広く収集した。 文献収集作業と並行して、風と火にまつわる日本のみならずアジア古来の様々な文化圏や領域-例えば神話、民間伝承、象徴、神道、仏教、文学、絵画他-における象徴の相の網羅的な調査を行なった。次に、狂言の作品群の中から「風」と「火」のイメージを含むテキストを選び出し、その上で、そこに観察されたイメージを、すでに調査済みの、明らかに世俗劇の背景の一端でもある様々な象徴体系とも絡めて、分析・考察し、その聖・俗離反の象徴体系の概貌を輪郭付けるに至った。
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Research Products
(2 results)