2006 Fiscal Year Annual Research Report
日仏中世末演劇における聖・俗の象徴体系の総合的比較研究--花と風と火をめぐって
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16520156
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
川那部 和恵 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (70332765)
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Keywords | フランス中世世俗劇 / 狂言 / 聖と俗 |
Research Abstract |
いずれにおいても歴史的転換期にあったフランスと日本の15〜16世紀において、変化の兆しを見せていたとされる聖と俗の関係性を、両国の演劇のなかに個別のテーマを通して総合的に探ることを目的とした当研究は本年度が最終年度であり、本年は過年度分の研究成果をベースにしつつ総括を行なった。 平成16年度と17年度は、両演劇それぞれに、聖・俗の観念に包括的に係わる根本的イメージとして含まれる「風」と「火」というテーマに注目し、これらが聖・俗の視座から見ていかなる象徴体系を呈しているかを、順次、世俗劇(阿呆劇Sotties、笑劇Farces、滑稽説教Sermons joyeux、悪魔狂言Diableries)、狂言の中に調査した。そして本年度は以上の調査資料の分析と考察を行ない、その結果、いずれにおいても「風」と「火」は聖と俗を切り離す動きを象徴していることが確認された。その上で、研究代表者の平成13〜15年度の科学研究費による先行研究である、仏聖史劇と日本の能における「花」の研究の成果との突き合わせを行ない、そこから、聖史劇と能における「花」が聖と俗の関係性の凝縮したかたちであるとすれば、その対応関係にあるいわば喜劇的なジャンルにおける「風」と「火」とは、その関係性の空無化を象徴するイメージを孕むものであるとの解釈を下すに至り、日仏それぞれの中世末演劇において、聖と俗が、融合(「花」により象徴)と離反(「風」と「火」により象徴)の二重の関係にあったことが明らかになった。 成果の一部は、平成18年10月19〜21日、フランス・ヴァランシエンヌ大学で開催された国際学会Le voyage createurにおいて、《Le jeu d'errance entre le sacre et le profane : Sots en quete de la connaissance de soi dans le theatre profane des XVe et XVIe siecles》の表題のもと発表して議論に付した。
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Research Products
(2 results)