2005 Fiscal Year Annual Research Report
十七世紀イギリスにおけるパンフレット出版と公共圏の形成
Project/Area Number |
16520160
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
小野 功生 フェリス女学院大学, 文学部英文学科, 教授 (80194588)
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Keywords | 公共圏 / パンフレット出版 / プロテスタント国家意識 / 殉教 / ジョン・フォックス / スコットランド長老派 / 対話 / ロータ・クラブ |
Research Abstract |
本研究は、17世紀のパンフレット出版を通観して、パンフレット出版がその成立の重要な部分を担った公共圏がどのような性格をもっていたのかを明らかにすることを目的とする。研究は一次資料の収集と分析を中心として行なわれ、平成17年度は、(1)17世紀パンフレット文学において大きな影響力をふるった殉教者表象の研究を16世紀にまでさかのぼって検討する、(2)三王国関係における他者表象と国民国家意識の関係を追究する、(3)王政復古期のパンフレットにあらわれた対話的言説と公共圏成立という問題を解明する、という三つの課題に取り組んだ。 (1)ジョン・フォックスの『殉教者列伝』(1563年初版)を焦点とする、誰が真の殉教者なのかという宗教論争がもつ領有(アプロプリエイション)的性質とそれが公共圏の形成に及ぼした影響については、1649年の国王チャールズ一世処刑時の殉教論争にいたるまでを通観して、その成果を「殉教者とは誰なのか」というタイトルで第44回日本シェイクスピア学会のセミナー「殉教史とエリザベス朝演劇」(日本女子大学、2005・10)において発表した。(2)イングランドにおけるスコットランド長老派教会との微妙な関係とアイルランドのカトリック教徒へのあからさまな憎悪が公共的言説にもたらした影響については、「ミルトンとスコットランド長老派」というタイトルで日本ミルトン・センター第31回研究大会シンポジウム「ミルトンと宗教」(同志社女子大学、2005・10)において発表した。(3)王政復古期の風刺文学が理性的公共空間にもたらす亀裂については、"The Politics of Memory in the Restoration Public Sphere : The Rota, the Rump, and Miton"というタイトルで第8回国際ミルトン・シンポジウム(University of Grenoble, 2005・6)において発表した。
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Research Products
(2 results)