2004 Fiscal Year Annual Research Report
Eugene O'Neillを準備する19世紀末から20世紀初頭のアメリカ演劇
Project/Area Number |
16520175
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
長田 光展 中央大学, 文学部, 教授 (10055163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 節子 東京女学館大学, 国際教養学部, 教授 (80184612)
大森 裕二 拓殖大学, 工学部, 特任講師 (40384698)
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Keywords | アメリカ演劇 / オニール / ウィリアムズ / 『楡の木陰の欲望』 / 『日陰者に照る月』 |
Research Abstract |
本年度は、ユージン・オニールの作品について研究分担者の成果があった。 1、大森裕二氏の「『日陰者に照る月』--「娘」から「母」への変容を求めて」は、この作品をオニールの「農場劇三部作」の最後として捉えることで、そこに「母なる豊穣神」の再生を主題とした隠喩的物語の層を明らかにするもの。同時にそうすることで、フェミニスト批評家が作り出してきた、女性を「母親」役に閉じ込める性差別主義者としてのオニール像を覆した。 2、市川節子氏の「二つの"Desire"--Eugene O'NiellのDesire Under the ElmsとTennessee WilliamsのA Streetcar Named Desire--その1.再生を準備するDesire(Desire Under the Elms)」は、タイトルとなる「欲望」(Desire)に注目し、23年後に上演されたウィリアムズの『欲望という名の電車』における「欲望」の表現と比較することによって、両作家の作品に反映されたアメリカ社会の一面を明らかにしようとする考察の前半部である。オニールは、劇発表の1924年ごろにアメリカで優勢であった父権主義、アメリカン・ドリームに象徴される物質主義から脱却して、「欲望」をてがかりに、魂と肉体の新しい出発を試みたことで高く評価されるべきだとしている。
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Research Products
(2 results)