2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520187
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
関根 勝 早稲田大学, 国際教養学術院, 教授 (70063782)
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Keywords | 西洋古典 / 喜劇 / 狂言 / シェークスピア / コメディ・フランセーズ |
Research Abstract |
西洋と日本の古典喜劇を通しての文化融合の試みの実験研究である。西洋の喜劇は古代ギリシャのサチュロス劇に発すると言われているが、私の研究は主に狂言とシェークスピアの喜劇やイタリアのコメディア・デル・アルテと言う即興喜劇との比較と融合実験研究である。 日本の狂言は14世紀にほぼ現在のような形に出来上がるが、この当時はまだ即興の要素も多く残っており、どのような形態で、どのような台詞をしゃべったか知るすべはない。しかし、17世紀には入ると現在のような狂言に集大成され、今に至るまで伝統芸能として残された。これは16世紀から17世紀にかけて人気を、大流行したコメディア・デル・アルテが廃れてしまい、18世紀カルロ・ゴルドニによって、再興されたが、再び消滅してしまったのとは大きく異なる。狂言の存続は能の一部とされていたこと、および伝統を重んじることを奨励した徳川幕府によるところが大きい。さもなくば、コメディア・デル・アルテ同様消滅してしまったであろう。 この研究では、文宇によって残された喜劇のテキストを研究し、さらにはそれらの喜劇が上映された記録を調査することで、どのように演じられてきたかを探る。そこで、東洋と西洋の社会情勢の違いや観客の違いによって喜劇の性質がどのように変化していったがを知る。 この研究の主眼は東西の喜劇の違いを調査・研究することではなく、西洋の異なる喜劇を融合することで、さらに新しい可能性を求めようとすることである。それゆえ、シェークスピアの喜劇の翻訳をしたり、コメディア・デル・アルテの筋外を元に書き下ろしたり、創作したりする。さらにこれらの作品を舞台に上映して、その成果を実証していく。
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