2005 Fiscal Year Annual Research Report
モダニズム/エグゾティシズム研究--文学・芸術における<外の思考>の系譜
Project/Area Number |
16520189
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
谷 昌親 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90197517)
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Keywords | ヨーロッパ語系文学 / 仏文学 / 美学 / 芸術諸学 |
Research Abstract |
研究の5つの柱を成す各項目について、本年度の実績を以下に記す。 a)レーモン・ルーセル研究--ルーセルの最後の作品『新アフリカの印象』、未完の長篇小説『ハバナにて』など、晩年の活動について、とくに作品の重層構造(入れ子状構造)との関係からの研究を進めつつあり、上記の作品を日本語に翻訳することも検討中である。 b)ミシェル・レリス研究--昨年度に引き続き、1931年から33年にかけてのダカール・ジプチ調査団の民族学的な意義と、この調査に参加したことでレリスが得たものやそれが彼の作家活動にもたらした影響、またこの調査のコロニアリズム的な性格に対する彼の批判などを調べており、来年度には論文にまとめる予定。 c)ダダ・シュルレアリスム研究--以前の論文でとりあげたパリ植民地博覧会(1931年開催)の問題の延長として、バリ島の演劇とアントナン・アルトーの関係を調べ、論文にまとめた。またシュルレアリスムと写真の関係を仏語の論文にまとめ、これは近く刊行される予定。 d)視覚芸術と無意識/身体--無意識と身体の関係を探る試みを続けているが、上記c)のアルトーについての論文において、その一端には触れえたと考えている。また、やはりc)で言及した写真についての論文は、文字通り視覚芸術を取り上げたものであると同時に、無意識の問題にかかわっている。 e)20世紀文化・社会・思想研究--上記b)やc)の研究は、まさに20世紀初頭におけるモダニズムとエキゾティシズムの関係にかかわってくるが、それは一方で、主体と客体の問題として捉えなおした場合、d)とも密接に関係してくるはずである。実際、シュルレアリスムと写真の関係を論じる際にも、つねに主体と客体の相関関係に注目せざるをえなかった。この主体と客体の問題こそ、モダニズムとエキゾティシズムについて考える作業の核のひとつになることが明らかになりつつある。
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Research Products
(1 results)