2004 Fiscal Year Annual Research Report
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16520196
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Research Institution | Chikushi Jogakuen University |
Principal Investigator |
間瀬 玲子 筑紫女学園大学, 文学部, 教授 (30219357)
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Keywords | ネルヴァル / ディオラマ / バルザック / ゴーチエ / ゾラ / ファーブル・ドリヴェ / 思想的背景 / 宇宙進化論 |
Research Abstract |
Base Internationale de Lettresという題名のCD-ROMを用いてDioramaを検索すると5作品がヒットした。該当する作家であるバルザック、ゴーチエ、ゾラ、ヴェルヌの著作を入手し、その記述を詳細に検討した。バルザック以外は比喩として用いているのであり、ディオラマ自体の描写はあまり見られなかった。バルザックは『ゴリオ爺さん』の中で詳しく言及している。 2004年8月に香港で行われた国際比較文学会において「ネルヴァルのユートピア思想」についてフランス語で発表を行ったが、その際本研究の一部を公表した。次にネルヴァルのディオラマの思想的背景の中で最も重要な作家のひとりであるファーブル・ドリベの主要著作『復元ヘブライ語』の中の「モーゼの宇宙進化論」を解読した。この著作は非常に難解で、そのごく一部である「モーゼの宇宙進化論」は聖書の独自の解釈に基づく翻訳である。 またパリの公共情報図書館でディオラマについての研究書を調査した。ディオラマを発明したダゲールの著作を調査することができた。同図書館の設備を用いてFrantextというデータベースにアクセスし、Dioramaを言及しているテキストを検索すると33件ヒットした。19世紀に活躍した作家の中で、サンド、バルザック、バンヴィル、ゴーチエ、ミシュレ、ゴンクールの作品がヒットした。上記のCD-ROMでヒットした作品とは異なる作品を知ることができたのは大きな収穫である。サンドは書簡の中でディオラマを実際に見た経験を語っている。バルザックも初期のディオラマを見た経験を書簡で語っており、注目すべき言及をしている。スタンダールは彼の小説の中でディオラマを言及しており、これからもっと研究するに値すると考えられる。 以上のように今年度はネルヴァルにおけるディオラマの思想的背景の一つの研究を行った。またネルヴァル以外の作家たちがディオラマをどのように理解したかも考察した。
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Research Products
(1 results)