2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520196
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Research Institution | Chikushi Jogakuen University |
Principal Investigator |
間瀬 玲子 筑紫女学園大学, 文学部, 教授 (30219357)
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Keywords | ネルヴァル / ディオラマ / 原始世界 / 東洋文庫 / 電子テキスト / 大供水 / バルテルミー・デルブロ / クール・ド・ジェブラン |
Research Abstract |
パリの公共情報図書館において全文データベースFrantextを用いてdioramaを再度検索した。その結果33件ヒットした。ヒットした箇所を同図書館の書籍から探し出し、検討を重ねた。日本において出来るだけ原書と翻訳を入手し、19世紀から20世紀の作家たちのdioramaの使い方の違いを考察した。19世紀の作家の中でディオラマを実際に見た作家たちの感想は「非常にすばらしい」という賛嘆の声である。ディオラマが消滅した後の作家たちは、作品内においてディオラマを比喩として使っている。20世紀の作家になるとますますその使い方が観念的になると考えられる。 フランス国立図書館の電子テキストプロジェクトGallicaの検索画面のrecherche libreにdioramaを入れて検索すると20例がヒットする。この中にはFrantextの検索結果と同一テキストのものが含まれるが、文学作品以外の書籍がヒットするので参考になる。必要に応じて電子テキストをダウンロードして、dioramaという単語の使い方を詳細に検討した。 上記の作業と並行して、ネルヴァルに影響を与えた作家バルテルミー・デルブロの『東洋文庫』の原書及び電子テキストを検証した。ネルヴァルはディオラマで描かれた「大洪水」と『東洋文庫』の記述を結びつけて考えた可能性がある。次にクール・ド・ジェブランの『原始世界』とネルヴァルの作品の関連性を考察した。『原始世界』とディオラマは直接の関係はないがネルヴァルに多大な影響を与えた作品であることは確かである。Gallicaが電子テキストを提供しているので容易に全文を見ることができる。 2005年7月にオーストラリアのケアンズで開催されたAULLA33 and FILLM23 Joint Congressにおいて《Diorama dans les oeuvres de Gerard de Nerval》と題して本研究の一部を発表した。
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Research Products
(2 results)