2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本における宋代文学受容史の研究-蘇軾の文学を中心に-
Project/Area Number |
16520218
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
池澤 滋子 中央大学, 商学部, 助教授 (50307170)
|
Keywords | 寿蘇集 / 赤壁会 / 蘇東坡 / 長尾雨山 / 柴野栗山 / 池内陶所 / 蘇軾 / 寿蘇録 |
Research Abstract |
本研究では日本における宋代文学の受容を蘇軾を中心として、三期に分けて明らかにする。第一期は室町時代(1336-1573)で、この時期五山僧を中心として蘇軾・黄庭堅を中心として中国詩文の研究、刊行が盛んに行われた。1534年に成立した笑雲清三の『四河入海』はその最大の成果である。本研究では『翰林五鳳集』等の中に大量に収録されている蘇軾を題材とした詩文について分析を加え、彼らの蘇軾観を明らかにする。特に五山の時代には蘇軾の詩文を題材にした「題画詩」が盛んであったことに注目したい。第二期は江戸時代で、特に文化・文政年間(1804-1830)、それまでの唐詩崇拝の潮流に反対した山本北山(1752-1812)・江村北海(1713-1788)の提唱などをきっかけにして宋詩が流行した。この時期文人達を中心として蘇軾の赤壁遊にならった遊びが盛んに行われた(柴野栗山・亀田鵬斎など)。この赤壁遊において作られて詩文の分析を中心に、江戸時代の文人独自の蘇軾受容を明らかにする。第三期は明治・大正時代(1912-1926)で、この時代、長尾雨山(1864-1942)、富岡鐵齋(1836-1924)を中心に壽蘇會、赤壁會(1922年)が開かれた。壽蘇會において作られた詩文集『壽蘇集』等を中心に、彼らの蘇軾観を明らかにする。本研究において対象とするのは、上述した五山僧の詩集『翰林五鳳集』、柴野栗山を中心とする赤壁遊の詩文(『與樂園叢書』巻一五所収)、長尾雨山編纂の『壽蘇集』所収等の詩文である。これまでほとんど個々の分析がなされていなかったこれらの豊富な資料を研究することによって、日本の漢詩文における蘇軾文学の受容の全体像が明らかとなろう。今年度は第二期と第三期を中心に研究を行い、その成果は『在日本的寿蘇会与赤壁会(日本における寿蘇会と赤壁会)』(中国語)として一冊の著書にまとめた。本書は2005年9月に出版の予定である。
|
Research Products
(2 results)