2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520230
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
田端 敏幸 千葉大学, 国際教育開発センター, 教授 (00135237)
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Keywords | 量適性理論 / 頭文字語 / 音韻制約 / 強勢型 |
Research Abstract |
本年度は研究計画で設定したトピックのうち略語の形成とそのアクセント型を英語の頭文字語(initialism)について調査した。ここでとりあげたのはYMCAのように文字をそのまま読み上げるタイプの頭文字語である。英語はイニシャルレターを用いて長い語句を短縮する傾向が非常に強いが,その際にアクセント型に関してどのような特徴が見られるのかという観点から分析を進めた。その結果,文字数が3個まではたとえ語として発音可能であっても文字読みが好まれ(VIPは[vip]とは発音しないで文字通りに読む),文字数が4個からは可能な限り語として発音する(例:NATOは文字通りには読まずに「語」のように発音する)という傾向が確認された。さらに,文字読みをする頭文字語は規則的な強勢型が付与されることが明らかになった。その規則性とは,文字列の両端に強勢を置き,そのなかでも右端が主強勢になるというものである。また文字数が増えると副強制を置かなければならないような事態が発生する。強勢のない要素が3個連続するのを避けるためである。このような強勢の配置は頭文字語の文字数を5文字までに押さえ込む働きをしているのではなかろうかというのが結論である。すなわち,アクセントを両端に置く,強勢のない文字が3個以上連続してはならない,副強勢をやたらに入れない方が望ましい.というような単純な音韻制約によってアクセント型が一定に保たれているわけである。これによって,3文字や4文字の頭文字語がなぜ圧倒的な頻度で出現するのか,5文字を超えるとなぜ頻度が激減するのかということが明らかになる。以上の内容を平成16年6月に青山学院大学で開催された日本音韻論学会において「英語における頭文字語の音韻論的側面」というタイトルで口頭発表をおこないそれを論文にまとめた。論文は『音韻研究』(日本音韻論学会)第8号(2005年4月)に掲載される。
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Research Products
(1 results)