2006 Fiscal Year Annual Research Report
文法・語彙構造の歴史変化の方向性に関する認知・機能言語学的研究:日韓語を中心に
Project/Area Number |
16520234
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
守屋 哲治 金沢大学, 教育学部, 助教授 (40220090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 薫 東北大学, 高等教育開発推進センター, 教授 (70181526)
姜 奉植 岩手県立大学, 共通教育センター, 教授 (30305320)
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Keywords | モダリティ / 文法化 / 日本語 / 韓国語 / 言語変化 / 否定辞 / 継続相 / 副詞 |
Research Abstract |
本年度は、能力の否定を表す形態素の持つ類型論的特徴に関する研究、および継続相をあらわす副詞の意味変化を支配する要因に関する研究を中心として研究活動を行った。前者の研究については2006年7月にメキシコで開催されたInternational Conference on Korean Linguisticsで発表を行い、Moriya and Horie(2006)として論文発表した。また、後者に関しては守屋(2007)の形で発表した。さらに、日本語・韓国語・英語の助動詞の特性比較に基づいて、日本語モダリティ表現が持つ、特殊性と一般性を整理した内容を、2006年6月にイギリス・ロンドン大学で開催されたRevisiting Japanese Modalityという学会で発表した。 能力の否定形態素の研究については、Moriya and Horie(2006)で以下のような指摘を行った。 (1)韓国語に能力否定を表す形態素mosが存在するのは、アルタイ語族の持つ特徴の反映の可能性がある。 (2)しかし、この形態素が持つ統語的特徴は、各言語において否定辞がどのように発達してきているか、迂言的表現がその言語でどの程度利用されているか、などといった要因によって決まってくる。 また、継続相を表す副詞の意味変化の研究については以下のような指摘を行った。 (1)英語stillと日本語「まだ」は意味的に類似しているが、基本的意味が異なるために拡張パターンも異なっている。 (2)韓国語、ドイツ語などのデータも考慮にいれると、この基本的意味の違いは、副詞の元となる語の意味的性質に由来する可能性がある。 上記で述べた研究業績において、語彙・文法構造の意味変化に個別言語的な差異を生み出す要因と、普遍的な要因が相互作用している事例を明らかにすることができた。
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Research Products
(4 results)