2004 Fiscal Year Annual Research Report
コーパスとアーカイブ資料を利用したフィンランド語の格の用法の変遷に関する研究
Project/Area Number |
16520235
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐久間 淳一 名古屋大学, 文学研究科, 助教授 (60260585)
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Keywords | フィンランド語 / 格 / 言語コーパス / アーカイブ / 通時変化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、フィンランド語の格の中で特に文法機能を表示するのに用いられる格、すなわち主格・属格・分格の用法が時代と共にどのように変遷してきたかを探ることにある。研究代表者は、これまで共時態におけるこれらの格の用法とその使い分けの原理を明らかにしてきたが、その説明が通時的な変化に照らして妥当なものであるか検証することが本研究の眼目である。 19年度までの4年にわたる研究の初年度である本年度は、基礎資料の収集に取り組んだ。基礎資料には、通時的資料のほか、歴史的変化を裏付ける方言資料も含まれる。資料の収集には、ヘルシンキ大学およびフィンランドの国語研究所の言語コーパスやフィンランドのCSC(Centre for Scientific Computing)が公開している研究者用テキストデータベースを利用した。また、1月には、フィンランドおよびエストニアに渡航し、フィンランドでは、ヘルシンキ大学フィンランド語学科のアーカイブ(muoto-opin arkisto)および国語研究所のアーカイブ(murrearkisto)で方言資料を収集し、エストニアでは、タリン教育大学で関連資料を収集した。 収集した資料の分析には次年度以降継続して取り組んでいくが、本年8月にロシアで開催される第10回国際フィン・ウゴル学会議で、Semantic Macroroles and Case Marking in the Finnish Langaugeと題して研究発表を行う予定なので、その発表に本年度の研究成果を反映させるべく、現段階での分析結果を整理した。また、研究成果は、次年度以降順次論文にまとめる予定である。
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