2007 Fiscal Year Annual Research Report
コーパスとアーカイブ資料を利用したフィンランド語の格の用法の変遷に関する研究
Project/Area Number |
16520235
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐久間 淳一 Nagoya University, 文学研究科, 准教授 (60260585)
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Keywords | フィンランド語 / 格 / 言語コーパス / アーカイブ / 通時変化 / 国際情報交換 / フィンランド |
Research Abstract |
本研究の目的は、フィンランド語の格の中で特に文法機能を表示するのに用いられる格、すなわち主格・属格・分格の用法が時代と共にどのように変遷してきたかを探ることにある。4年にわたる研究の最終年度である本年度は、収集した資料の整理と資料の分析、考察を進めた。収集した資料は、大学院生に謝金を支払って、整理を依頼した。また、フィンランドのCSC(Finnish IT-centre for Science)のコーパスKielipankki (Word Bank)を使った資料の収集を続けるとともに、2月にはフィンランドに渡航し、ヘルシンキ大学のアーカイブ(muoto-opin arkisto)で補充調査を実施した。なお、8月末から9月初めにかけて、本補助金による成果を発表するため、本補助金とは別の経費によりフィンランドへ渡航し、ヨエンスー市で開催された第40回ヨーロッパ言語学会でGase Marking of Core Arguments in the Finnish Languageと題した研究発表を行った。 本研究では、特に許可構文を取り上げ、文法機能を表す格の用法の変遷を考えてきた。一連の研究から明らかになったように、フィンランド語には、主格、属格、分格がいくら複雑に分布していても、同一節中に主格が二つ現れることはないという原則がある。しかし、文法機能を表す項が数量詞を含む場合、この原則が当てはまらない。論文Numerical Phrases in the Finnish Languageではこの問題を取り上げ、フィンランド語の文法機能を表す格の機能を理解するためには、量的な定不定の概念が重要であり、数量詞が付いた項を含む場合に主格が二つ現れ得るのは、量的な定性を表示するのに、主格を使う以外に有効な手段がないからであることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)