2004 Fiscal Year Annual Research Report
日英語の名づけのメカニズム:可能な語に関する制約の普遍性と言語間、範疇間の差異
Project/Area Number |
16520239
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
由本 陽子 大阪大学, 言語文化部, 助教授 (90183988)
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Keywords | 複合動詞 / 概念構造 / 表示的モジュール性 |
Research Abstract |
日本語の動詞+動詞型の複合語には、形成される部門の異なる2種類があると考えられており(cf.影山(1993))、それらは形態統語的性質のみならず、意味解釈においても異なることが観察されている(cf.由本(2003))。今年度は、場合によっては、ほぼ同義として交替が可能となる「V+かえる」と「V+直す」について、その意味と統語を入念に比較した。インターネット上の検索機能を用いて集めたデータを綿密に調査してみると、一見同義と思われる同じ動詞と結合した「V+かえる」「V+直す」も、厳密には微妙な意味の差異があることがわかった。この違いは、それぞれ語彙的複合動詞と統語的複合動詞であるが故に異なるメカニズムによって解釈されていると考えれば自然な説明が与えられ、由本(2003)の主張を支持するさらなる証拠を提示することができた。この仮説に基づき語彙概念構造(LCS)による表記で両者の意味を明示的に示すことにより、結合できる動詞の制約-換言すれば、どのような事態を「V+かえる」や「V+直す」という複合動詞によって名づけることができるのか-についても説明を与えた。すなわち、「かえる」と「直す」は、語彙的複合か統語的複合かという違いにより結合可能な動詞が異なっている(「^*編集しかえる/編集し直す」)が、この形態統語的な制約の違いだけではなく、異なるLCSを導くが故の異なる意味的制約があること,さらには、それぞれのLCSが含む変項が適切に統語構造上で実現されるための、LCSと統語構造との対応における制約があることを明らかにし、語形成のレヴェルにおいても、Jackendoff(1990)が提唱する表示的モジュール性に基づく理論が有効であることを示した。
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Research Products
(4 results)